午前中海事センターで近著「そこが知りたい 観光・都市・環境」の最終校正の打ち合わせを行った。出版社からも表紙デザインに関して5種類ほどサンプルを提示され、それぞれ特徴が表れて良いと思ったが、テーマから推してデザインに動的なイメージが表れることが重要と考え、その中の一案を推薦したところ他の執筆者も同意してくれたので、スムーズに「これにて1件落着」となった。これから拙稿の文字、表現をチェックして一両日中に出版社へ届けようと思っている。出版予定日については11月10日と印刷されているが、4日に札幌で開かれるJAPAN NOW観光情報協会主催「観光立国フォーラムin札幌」セミナーで参加者に配布する予定であり、いよいよラストスパートに入った。出来上がりを楽しみに待ちたい。
さて、大学の後輩で息子たちの家庭教師を務めてくれた諏訪園さんから、転勤のハガキをもらった。確か一昨年だったと思うが、中央官庁課長職から、東北大学教授として転出して学生との研究活動に関わっていたが、今度は中央行政職に就任したとの連絡である。まったく慌しい異動で、これでは腰を落ち着けて仕事に専念出来ないのではないかと心配になる。ましてや大学教授と国家の役人では仕事がまったく違うと思う。もう少し準備期間なり、仕事の成果を発揮出来るような態勢考えてあげられないものだろうか。
文面を読むと事前に異動の打診があったと添え書きされていた。「本来来夏まででしたので、学生たちへの指導や研究活動、当地での生活自体についても、大変名残惜しい気持で一杯です」とある。国家行政の要職に就いたのだから、喜ぶべきことなのかも知れないが、失礼ながら外野席から見ていると中途半端な人事に思えて仕様がない。「栄転だとは思いますが」などと余計な文言を付け加えて、二男の結婚報告と併せ激励のメールを送信した。元来優秀な人なので、これからも新しい職場で才能を発揮して実績を上げてくれることを期待したい。
ところで、昨日からチリの炭鉱落盤事故救出作業が急に早まったと世界中の関心を呼んでいる。当初は12月中に救済できるとかなり先の長い話だったが、ここへ来て計画が急ピッチに早まり、遂に今日最初の作業員が地底700mから救い出された。
1985年にステンレス・ミッションにお供して、ロッキー山脈山中にあるコロラド州キーストーンのアマックス社ヘンダーソン鉱山で地下600mまでエレベーターとトロッコで潜ったことがある。坑道はそんなに狭くなかったが、それでもその時随分圧迫感を感じたものである。それが事故により最初の内は地上とも連絡がつかずに、こんなに深い息苦しい地底に69日も閉じ込められたのは辛い体験だったと思う。それに耐え抜き、今日次々に救出されているのは素晴らしく、実にめでたい快事である。現時点で全員が救出されたわけではないが、それにしても33人の作業員が揃って救出されようとは、素晴らしい成果である。
NHK「ニュースウォッチ9」の大越健介キャスターが、閉じ込められた状態で全員が示した結束力と最後に救出されるウルスアさんのリーダーシップを誉め称えていた。現場監督のウルスアさんは閉塞状態の中で冷静に①現状把握、②本質の分析、③優先順位重視、において並外れた危機管理能力を示してくれた。いざとなると世間にはこういう隠れた異才がいるものである。天晴れである。