共著「そこが知りたい 観光・都市・環境」の最終校正原稿を出版社へ提出してきた。これでもう修正することは出来ない。自分にとってもよもやもう書き直すことはないだろう。今日の原稿は前回の校正原稿から何箇所か訂正し、編集者にも納得してもらった。これで来月初旬に新しい書籍が世に出る。今回は先月開催された国際ペン東京大会記念として、ドキュメントを書くつもりで準備を進めていたところ、今年になって偶々この共著プロジェクトが入ったので、ドキュメントを来年に譲ったものだ。これで次の作品として1年遅れてしまったが、旅行関係のドキュメントに拍車をかけて来年何とか上梓したい。
ここ2,3日中国国内各地で反日デモが頻発して、日本商店や料理店が暴徒に襲われている。成都、西安、鄭州、綿陽に続き、今日は湖北省武漢でも反日デモが起きた。成都では一昨年大地震があり、その際日本からも救助隊が駆けつけ被災者のために支援した。そんな人道的な援助もありながら、どうも中国の若い人たちは何でもかんでも日本が悪いと言って日本に不満をぶつけている。マス・メディアの一般的な報道では、反日グループは一部の若者が暴れているのであり、デモ隊の本当の狙いは共産党の1党独裁と民主化抑圧に対する反発、そして貧富の格差に対する不満だと指摘している。
中国国内にある二極構造は経済発展とともに進み、今や都市部の富裕層と農村部の貧しい農民との経済格差が拡大し、地方では学校は出ても就職も難しくなっている。一方、太子(プリンス)党と呼ばれる国家首脳の師弟らの成功や、官庁や会社内における出世が、貧しい階層にとって羨望の的となり、その反動が反感となっている。その過程で不満が政府へ向かう前に、江沢民・前国家主席下の愛国教育で反日的な教育を受けた若者が、反日行動へ走ったのではないかとも言われている。
現在中国では5年に1度開かれる第17期中央委員会第5回全体会議(5中全会)が今日閉幕となった。この時期に各地で反日デモを行っているが、その地下深くには反体制のマグマが沸々としている。中国外務省の見解も的外れで、体制安泰を願っている様子が見え隠れしてまったく誠意が見られない。若者のデモを擁護するかのように、「一部の群集が日本の誤った言動に対して義憤を表明することは理解出来る」と述べたのは、こう公表しなければ彼らの暴挙が中国政府に向かうことを懸念したからにほかならない。外国へ迷惑をかけることにかけては、国民が国民なら、国家も国家である。
今日の5中全会で、党中央軍事委員会副主席に習近平・国家副主席が就任し、ポスト胡錦濤ということがはっきりした。習氏は父親が一時失脚したとは言え元副首相であり、いわゆる太子党である。2年後には胡錦濤路線を継承していくことになるらしい。だが、太子党の習近平と共産主義青年団(共青団)出身の胡錦濤とは出身母体が異なり、今後胡派と習派の権力闘争が激化する恐れがある。2年後の習近平体制が発足した時に一波乱あるのではないか。
それにしても胡錦濤も、温家宝も金正日も偶然とは言え、同じ1942年生まれである。おかしなことをやる国は国家の人的骨格がおかしい。中国も最近の言動は傲慢で、不誠実だと思っていたら、何と世襲制度を敷いている北朝鮮に似てきた。やれやれである。