1254.2010年10月19日(火) 民主主義を都合良く解釈する人たち

 15日小沢一郎・民主党元代表が過日下された第5検察審査会の起訴議決に対して、起訴議決の執行停止と強制起訴に向けた指定弁護士選任の仮差し止めを申し立てた問題で、東京地裁は昨日申し立てを却下する決定をした。小沢氏側はこれを不服として即時抗告するものとみられている。

 地裁は検察審査会を準司法的機関と位置づけ、「起訴議決も刑事司法手続きであり、行政処分ではない」と指摘した。更に検察審査会法上で起訴議決の不服申し立ての規定がない点などを挙げて、「起訴議決の適否は、刑事訴訟法に基づく公判手続きで争われるべきであり、行政訴訟での訴えは不適法」と結論づけた。東京地裁の決定は当然だと思う。

 これに対して小沢氏側は今後どういう対応をするのだろうか。長い闘争になるのではないだろうか。いずれにしろ小沢氏の政治的力と求心力は、衰えていくことになるだろう。

 今年7月前区長の辞職に伴う区長選で当選した東京都杉並区長が、前区長が制定した多選自粛条例を廃止する方針だという。その言い分は「立候補と投票に関する権利は民主主義の根幹にかかわるもので、条例というローカル・ルールで縛るべきではない」と話している。確かに前段の部分はご尤もである。だが、この区長は自分自身が多選を目指しているから自粛廃止を行動に移そうとしているのではないか。前任者が採用した条例をいとも簡単に捨て去ろうとする行動については、この論理だけでは納得出来ない。それなら、自分が当選した区長選はほんの4ヶ月前のことであり、これだけ重要な決定について選挙当時すでに考えていた筈である。ならば、なぜ立候補の際多選容認の考えから、条例廃止の考えがあることを堂々と区民に訴えなかったのか。

 さらに言えば、前段の話は一応筋としては通っているが、多くの選挙制度の中で多選禁止、或いは自粛が注目を集めているのは、多選で当選した人が周りを側近で固めて独断的に政治を進める傾向が強く、長い間一部の人とだけ業務を進める人間関係が、つい汚職の危険性を招来するとみられるからである。そんなことは、アメリカ大統領の立候補に2期8年の多選禁止があることでも明確ではないか。民主主義の母国であるアメリカ合衆国の大統領任期にしても、そういう弊害を勘案して最長で2期8年に、ロシア大統領も2期10年に限定している。これはむしろ真の民主主義を守るためには、その方が弊害が少なく現実的だと考えられたからではないか。実際国内でもまだ少数ではあるが、多選自粛の動きは加速している。

 杉並区長は、この際前区長の理念を放擲する前に、多選の可否を選挙民に問うべきではないか。あまりにも自己都合で勝手に決めている。こういう人には民主主義を論じる資格はないと思う。

2010年10月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com