1260.2010年10月25日(月) 外国人訪日旅行の新たな問題点

 韓国・慶州のG20 の財務相会議が行われ、断片的なコメントを公表しているにも関わらず、ドル安、円高傾向は一向に止む気配がない。今日は15年ぶりに一時1$=80.45円の水準にまで円高が進んだ。ドルの価値がこれだけ下がってもアメリカの為替対策が無為で効果を発揮しないのは、アメリカの経済力が明らかに地盤沈下していることを表している。アメリカ政府の財政当局も、これといって有効な手を打てない。国内で洩れてくるのは、経済界から悲鳴ばかりである。

 新しくなった羽田国際空港から出国してみたくなり、韓国へ行くことを決めた。空港の利便性を実体験してみたいのと、低価格ツアーの実態をよく見てみたいということ、さらにまだ見学していない韓国内の世界遺産を見学してみたいと欲張った。

 先月新聞に低価格の韓国ツアーの広告が載っていた。その中のひとつのツアーが、内容的に希望に合っていたので、大分時間が経過してはいたが、電話で問い合わせてみたら、設定されたツアーはすべて満員でキャンセル待ちが大分あるとの話だった。この不景気に随分景気の良い話である。そうこうしている内に先日同じ会社で同じようなツアーの広告が掲載された。新しい羽田空港新滑走路から飛び立つツアーで、販売価格も両ツアーともにまったく同じだ。前のツアーには、「統一展望台」と「自由の橋」がセットされていたが、それがない。

 また、陶器の産地である「利川」も含まれていない。利川はソウルに近く、2008年正月に冷凍倉庫が大爆発して40名以上の死者が出たが、日本のメディアが一度報道して直ぐ報道を止めた事故があったところだ。この不審な動きについては「知研フォーラム」にも論稿を寄稿した。その利川が2番手のツアーでは入っていない。ちょっと残念だが、まあそれは次回に譲るとして、低価格ツアーで出かけることに今日決めた。これらのツアーも千客万来のようだが、何とか12月6日に出発するツアーの予約が取れた。韓国は2年ぶりだが、ゆっくりソウルと慶州の旅を楽しんできたい。

 さて、いま政府も外国人旅行客を呼び込むことに力を入れている。2008年には観光庁も発足して組織は出来ている。だが、やはりというべきか、最近の中国人観光客の来日で大きな課題が持ち上がった。今日の日経「Monday Nikkei」コラムによると、アジア人を手配する国内旅行のクォリティが急速に劣化してきているというのである。日本人観光客が参加する低価格ツアーの品質がよく問題になるが、これと裏腹の関係にある。中国人の訪日旅行の平均は5泊6日で約5万円とされる。登録制度がなく価格次第で安易にハンドリングを引き受ける、手配業者がいることに問題があるようだ。

 観光庁は、日本人に関わるツアーなら問題だが、外国で募集した外国人のツアー内容を日本の法律で規制するのは難しいとして、外国人旅行者の保護には消極的である。つまり外国人の団体旅行に関しては、現状では野放し状態である。ツアーの品質は下がり、日本に対するイメージも徐々に低下することははっきりしている。

 でも国は今のところ解決のための手を打つ気がない。私自身も外国人旅行者に関するこういう視点をいま初めて知ったようなものだ。そう言えばそうだ。このまま放置すれば、いずれは日本人の国内旅行の品質にも関わってくる問題だ。やはり、ツアー内容を維持出来るだけの、ある程度のルール化は必要ではないだろうか。今後議論が交わされることを期待している。

2010年10月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com