来る文化の日は私にとって72回目の誕生日に当たる。その文化の日に文化勲章受章者は皇居内の文化勲章親授式で天皇・皇后両陛下から直接お言葉と勲章を賜る。翌4日には文化功労者に対する顕彰式がホテル・オークラで行われる。今日発表された文化勲章受賞者は、各界でそれぞれ業績を残された著名な7人であるが、その中に先日ノーベル賞受賞が決まった鈴木章博士と母校湘南高校の先輩・根岸英一博士がおられる。お2人は文化功労者にも選ばれている。
嬉しいことに、文化功労者には「世界のホームラン王」王貞治氏、女優の吉永小百合さん、漫画家の水木しげるさん、歌舞伎の市川猿之助さん、iPS細胞の山中伸弥・京都大学教授ら錚々たる著名人と並んで、高校の同級生・中西準子さんと21年も後輩の指揮者・大野和士さんが選ばれた。今年は母校も当たり年というのか、ノーベル賞1人、文化勲章1人に文化功労者が3人の輩出である。
中西さんは1年生の時、同じクラスだった。50人の同級生の中には女生徒はたった3人しかいなかったが、彼女らはみな成績が良かった。特に、中西さんは目だって優秀で、オカッパ頭で印象的な容姿とともに鮮明に覚えている。確かお父さんは上海・東亜同文書院を出た、バリバリの日本共産党中央委員で参議院議員でもあった。ゾルゲ事件にも絡んでいたように思う。入学早々クラスで、大学出たての「生物」担当、与野主計教諭から、クラスの何人かに好きな歌を唄いなさいと言われて、私が愚かにも津村謙のヒット曲「上海帰りのリル」を唄ったのに対して、彼女は恐らく当時同級生の誰もが知らなかったであろう労働歌「第1インターナショナルの歌」を堂々と唄って同級生を唖然とさせた。人間的スケールが違い、とても歯が立たなかった。
彼女はその後横浜国立大学工学部へ進学して、卒業後横浜国立大学と東京工業大学で教授を務めた。現在は「産業技術総合研究所安全科学研究部門長」という長い肩書きの職務をこなしている。確か昨年何とかいう勲章を授与されていると思う。文化功労者の対象となったのは、「環境リスク管理学」というらしいが、素人には中々難しい。60年安保でも活動していたようだが、デモの現場で出会ったことはなかったし、高校卒業後はまったく接触はない。
まあそれでも同級生が文化功労者に選ばれるとは嬉しい限りであり、パワーを戴いたような気がする。
さて、首相辞任直後に「総理たる者、その影響力をその後行使しすぎてはいけない。従って、私は次の総選挙に出馬をいたしません」と次の総選挙で引退すると大見得を切った鳩山由起夫・前首相が、いとも簡単に前言を撤回した。「党の状況が思わしくない」ので、まだ自分に果たしうる役割があるというのが、その理由だそうである。冗談じゃない。鳩山氏に委ねるべき役割はもうない。小沢一郎氏と並んで散々政治とカネの問題で騒ぎを引き起こしたのは、ご自身ではなかったのか。
その一方で、首相としては普天間基地移設問題で稚拙な対応に終始して政治を混乱させて命脈が尽きたばかりではないか。この間変心に至るまでに、たったの4ヶ月しか経っていない。あまりにも口も腰も軽く、軽佻浮薄すぎるのではないか。国民は鳩山氏の無責任と不正なカネの問題、実行力のなさ、不誠実さ、等々をしっかり見抜いてしまって、もう従う気持ちなんてどこにもない。ご自分を一体何様と思っているのだろうか。政治的能力がないことをはっきりさせた鳩山氏には、最早政治力を行使することを国民が望んでいないことは明白である。そんなことぐらいちょっと考えてみれば分りそうなものである。第1自己批判も出来ない人に国政で力なぞ発揮出来る筈がないではないか。今もって政治家として自らの無能ぶりに気がつかない。そのうえで再び背後で、後輩を操ろうとするその鉄面皮ぶりには、呆れて物が言えない。相変わらずノー天気なぼんぼんである。あまりにも情けない。
案の定、地元の支援者や住民ですら呆れ果てている。かつては、日本のトップに立った人が生き恥を晒し、一度は諦めた国会議員の座になおしがみつこうというのは、あまりにも厚顔無恥で不謹慎である。