1275.2010年11月9日(火) ビルマ軍事政権の背後で暗躍する中国

 一昨日行われたビルマの総選挙は、投票結果がまだ発表されていないので、詳しいコメントは言えないが、新憲法の制定から選挙のルール決定のプロセスに至るまで、アメリカやEU加盟国からはタン・シュエ軍事政権に対する手厳しい批判が浴びせられている。日本のメディアでも新しい選挙制度自体については極めて批判的である。

 投票前から言われていたように、軍事政権の厳しい監視の下で行われる「民主化」選挙は、軍政がいかに自分たちのやり方を正当化しようとも所詮茶番である。アメリカやEU加盟国は、投票所視察団への参加を辞退した。当局は選挙前から外国人ジャーナリストの入国を認めず、そのため日本人ジャーナリストの山路徹氏なぞはタイ国境から入国ビザなしで入国して、不法入国で逮捕される有様である。自分たちの都合のためだけに、憲法を作り正当性を主張しようとする軍政の強引なやり方は、諸外国から強い非難を浴びている。

 今後も軍政を維持していこうとする当局のやり方は、中国の支援により軍事政権が安定の保証を得て、その一方で中国は資源の開発の権利を得ようとしている。こういう死の商人的取引を行うことにより、ビルマ政府は非民主化を加速させ、それに加担している中国は軍政を支える役割を果たしていることになる。政治的にも、文化的にも中国は世界中の鼻つまみ者になる恐れがある。

 ビルマの政治分布が明確になった後に、タン・シュエ民主?政権がスタートして、中国は果たしてビルマに対してどういうアプローチをするのか。あまり成金趣味の中国がビルマに深入りすると、純粋なビルマの人たちがカネで汚染され、ビルマ人らしい素朴さと純粋さを失い、中国に似た嫌な国になるのではないかと心配である。

 今日の衆議院予算委員会で、来月10日にオスロで行われる中国人作家・劉暁波氏に与えられるノーベル平和賞授与式に日本政府代表者が出席しないよう中国政府から要請があったと報告された。大きなお世話である。これに対して前原外相はよく検討してみると応えるし、菅首相は外相とよく相談して回答するという。これでは日本政府は中国政府にリモコン操作されているようなものではないか。内政干渉も甚だしい。なぜ即座にわが国の問題は、日本政府が考えると言って断固つき返さないのか。わが国の首脳はどうして揃いも揃ってかくも情けない対応しか出来ないのか。

 今日の朝日夕刊の1面トップ記事にこんなニュースが掲載されていた。村上春樹氏のベストセラー小説「IQ84」や、東野圭吾著「白夜行」の中国語翻訳版が、無断で電子書籍化されアップル社の配信サイト「アップストア」で販売されていることが判明した。中国と台湾の読者層を対象にした日本人作家の海賊版が販売されたわけである。中国ではかねてより知的財産権について国民の間に充分な理解がなされず、これまでにも度々トラブルを引き起こしていた。今回の件については、村上事務所側は消去を依頼するという。

 何だか知らない内に、政治面でも文化面でも中国ウィルスが侵入して、段々ややこしいことになってきた。

2010年11月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com