1278.2010年11月12日(金) 徴兵制は世界的に減少傾向か。

 世界各地でテロや局地的な争いが頻発している中で、世界的に軍隊の徴兵制度は廃止、或いは中止の方向に向かっている。今年7月スウェーデンでは、100年以上の伝統を誇っていた徴兵制を志願制に移行させた。

 ドイツでも政権与党・キリスト教民主同盟(CDU)が、徴兵制廃止を含む連邦軍改革案を幹部会で了承したことにより、野党も制度廃止に基本的に同意していることもあって、近々キリスト教民主同盟党大会で承認し、早ければ来年7月にも廃止する。徴兵制廃止を踏み切った各国にはそれぞれの内部事情があるが、ぶちあけて言えば、最大の理由は財政難のようだ。

 また、徴兵制という国家の強制的な措置によって個人の自由との兼ね合いが問題になって、ヨーロッパなどでは宗教的信条などを理由に「良心的兵役拒否」を認める国も多い。同時に、一般の若者が短期間兵役を務める徴兵制より、専門性の高い職業軍人を求める意見が、軍内部などでも強まっているという。

 かつてアメリカが1973年に徴兵制を停止して全員志願制を採ったのは、ベトナム戦争による大量の犠牲者を出した国民がトラウマに陥ったことが原因である。

 そのほかにも、短期間の兵役期間では訓練や教育を徹底出来ず、投資効果も低いことが影響しているようだ。加えて近年は自国防衛のために戦うというより、海外派遣による活動で外地における戦死者が増えている事情もある。

 そんなこんなが絡み合って徴兵制を敷く国が減少しているらしい。

 現在世界で徴兵制度を採用している国家は、50ヶ国以上に上ると見られている。その中にはお隣の韓国、北朝鮮、イスラエル、ロシア、イラン、キューバなどに混じって、意外にもスイスがある。永世中立国スイスが、軍隊を編成し、海がないにも拘わらず海軍を保有したり、徴兵制度まで採っていることには、思わず本当かな?と思ってしまうが、スイスは当面徴兵制を止める考えはないようだ。東西対立が消えてヨーロッパの安全性が高まり、それに合わせてヨーロッパ各国が軍隊を減らす傾向にある中でスイスの存在は極めて異色である。

 それにしても拡大する北朝鮮や中国の軍事力は怖いが、わが国に徴兵制度がないことは、平和の証として世界に誇っても良いのではないだろうか。

2010年11月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com