今日から2日間横浜で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)出席のため、昨夜世界の超大物が特別機で続々やって来た。アメリカのオバマ大統領、ロシアのメドベージェフ大統領、中国の胡錦濤・国家主席らが厳戒体制の中で横浜入りした。中国とロシアとの関係はこのところギクシャクして、2国間首脳会談を開くのかどうかも決まっていなかったが、今夕になって急遽日中首脳会談が開かれた。これに先立ち早くも日米首脳会談が開かれ、日本はアメリカの理解ある行動に対して感謝の意を伝え、両国ともに中国を牽制しながら日米同盟の深化を確認した。日本にとっては対中・対ロを意識して殊更対米関係の強い信頼関係をアピールするとともに、アメリカがアジアに強い絆を築いていることを訴える姿勢を示した。
こうなると日米同盟の基盤固めの点では、大いなる効果があったと評価しつつも、これから生じるであろう沖縄・普天間米軍基地移設のたなざらし問題をどう解決するのか。鳩山前首相の煮え切らない対話により、日米間には大きな溝が出来ている。5月28日の日米合意確認でアメリカに辺野古基地案実施にOKのシグナルを送ったことに対して、ほぼ全沖縄島民が反対と見られる空気の中で、果たしてアメリカが望む通りの対応が出来るのか、甚だ疑問である。
下手をすると日米関係だってギクシャクしかねない。外交問題に弱い菅政権が、世界が注目する中で議長国としてどれだけ会議を仕切り、存在感をアピール出来るのか、ここは正念場であろう。
さて、もうひとつ海外で前から気になっている政治問題がある。ビルマの民主化運動リーダーのアウン・サン・スー・チーさんが今日自宅軟禁の身柄拘束状態から解放されて自由を回復する日である。この国では今もって7日に行われた国民投票の結果が正式に発表されていない。軍事政権では、ほぼ8割方議席を確保して勝利を得たとの一部の報道があるが、もともとこの選挙自体が民主派勢力を疎外して実施されたもので、選挙自体の正当性に大きな疑問符がつけられている。
スー・チーさんは、当局側が言うように恐らく解放されるだろう。但し、きつい条件を負わされる。つまり軍事政権に非協力的な行動、反政府的行動をとらないとの保証を要求されるだろう。スー・チーさんはこれを断固拒絶して、当局は再び彼女の身柄を拘束する手段に出るとのシナリオが予想される。これでは、何のための解放か分らなくなるが、今や軍政はスー・チーさんの存在自体が目の上のタンコブで、何とか屁理屈をつけて彼女と彼女を支援する民主化団体の影響力を封じ込めようとするだろう。
さあ、どうなるか。注目してみてみたい。