今日は大きな国内ニュースが2つある。ひとつは、沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の映像を‘You Tube’を通して外部へ流した海上保安官について、検察庁と警視庁は逮捕せず任意捜査を続けると発表した。対立する2つの説がある。国家機密守秘義務違反で逮捕すべきという声がある一方で、一部の国会議員に映像を見せ、議員がテレビでその内容を話した以上秘密とは言えないので、国家機密には当たらないという説がある。
但し、組織として機密扱いで管理していた情報を個人の感情だけで外部へ広く流した行為が簡単に許されるのでは、海上保安庁に限らず、組織自体が成り立たないのではないかとの懸念もある。
いずれにせよ、毅然とした姿勢が見られずガタガタするばかりで、今後も同じような事件が起きるのではないかと心配である。
もうひとつのニュースは、大相撲九州場所で昨初日まで63連勝を続けていた横綱白鵬が、平幕稀勢の里に破れた。名横綱双葉山の記録69連勝を破るのではないかと期待されていたが、野望は潰えた。
海外では、ビルマのアウン・サン・スー・チーさんが解放され、早速国民民主連盟(NLD)本部前で約4万人の支持者を前に声明を発表した。長い間の自宅軟禁状態にも拘わらず、常に身の回りで監視していた軍政の係官は優しい対応をしてくれたと係官を非難することはなかった。彼女の心優しく、思いやりのある人柄が偲ばれる。
スー・チーさんは声明の中で、2千人以上に上る政治犯の釈放を求めるとともに、今後は軍政当局とも話し合いを進めると語ったが、彼女がこういう心情を話すのは初めてである。これまで民主化について、当局とは考えを改めねば話し合いは出来ないと頑なに語っていたが、長い軟禁状態の末、現状打開のためには自分たちの言い分を主張するだけではなく、相手の言い分も聞いてその中から妥協点を見出そうと考えを変えたのではないか。これもひとつの智恵であるので、支援する民主化仲間の同志らと充分意見調整をして、ことに当たってもらいたいものである。
現時点では双方の考え方には、大きな隔たりがあるので、そう簡単に妥協点を見出すのは難しいと思うが、今は最悪状態で、これだけ世界中から非難を浴びている現政権が話し合いに応じようとしない以上、最善の策がダメなら次善の策を考えてみるのもひとつの方法ではないかと思う。
それにしてもいつも現在の軍事政権の背後に見え隠れする中国の存在を、世界の民主化の声で表に炙り出す必要があるのではないかと思う。