昨日注目すべきニュースが2つあった。ひとつは、裁判員制度としては初めて横浜地裁で死刑判決が下されたことである。しかも、どういう意図か分らないが、裁判長が被告に控訴するよう話をしたことである。真意については憶測の域を出ないが、それでも各界から裁判長の気持を量りかねるとのコメントが寄せられたりして世論は揺れている。
今日駒沢大学で清田講師は、裁判長の発言には裁判員の負担を軽くする意味があるのではないかと話された。確かに控訴すれば、2次裁判である東京高裁で裁かれることになる。その場合は裁判員が参加しないので、仮に死刑の判決が下されても裁判員が関わった割合が小さくなり、負担が軽くなる。無期懲役になれば、プロの裁判官が自分たちのクビキを多少解いてくれたように感じられる。深刻な心境を語っていた裁判員の姿を見ていた裁判長は、そんなことを望んでいたのかも知れない。
しかし、異例な発言の裏には、裁判長が自ら下した死刑という判決に自信を持てないからだとか、これでは裁判員制度導入の意味がないとか、議論百出である。
もうひとつのニュースは、6月に回収された宇宙衛星「はやぶさ」のカプセルから小惑星「イトカワ」の成分が採集されたことが証明されたことである。これは文句なしに素晴らしい業績であり、日本の科学技術のレベルの高さを世界へアピールするものだ。
公式発表するひな壇席の宇宙航空事業団(JAXA)関係者の嬉しそうな顔が何とも微笑ましい。
「はやぶさ」が、打ち上げられたのは2003年5月で、05年11月には20億㎞も離れた小惑星「イトカワ」に着陸した。だが、05年12月から06年1月の間は通信が途絶えて一時行方不明になった。JAXA研究者や職員の懸命な回復作業の末、漸く07年4月に地球へ向けて出発することができた。そして3年後の今年6月地球へ戻ってきた。それ以来JAXAでカプセル内に約1,500個の微粒子を確認した。
専門的なことは分らないが、この結果には宇宙のロマンを感じるとともに、精度の高い技術を駆使して、精巧なロケットを製造して宇宙へ打ち上げ、一旦は故障して通信も途絶する苦難の中で、再び「はやぶさ」制御して地球へ戻すというオペレーションには、感嘆するばかりである。技術も凄いが、このプロジェクトに関わった関係者の辛抱強い努力と研究心には頭が下がる。最近にはない慶事であり、心から嬉しく誇らしく思う。
このところ政治、外交、経済で行き詰まり状態だった日本も、科学分野では世界に冠たる実力を証明してくれた。大いに自慢して良いと思う。