大学生の就職状況がはかばかしくないらしい。10月1日時点で、来春卒業予定の大学生の就職内定率が過去最低の57.6%まで落ち込み、就職活動は再び氷河期に突入した。
このところ毎日のように大学生の就職活動の様子がテレビで放映されている。特に、地方の大学生が苦戦を強いられているようだ。地方には学生を受け入れる企業が少ないことがその最大の原因である。関東や近畿は60%を超えているが、九州や北海道、四国などの大学生は中々内定を得られず、50%をちょっと超えた程度である。
翻って自分たちの時はどうだったか。卒業の1年前が空前の売り手市場で、あっと言う間に就職が決まっていた。そのおこぼれを受けてわれわれの卒業した昭和38年もあまり就職状況は悪くなかったような気がする。本気になればどんな会社だって入れると思い上がった気持があった。それで父親に頼ることもなく自分で職探しをして失敗し、私なぞは友人が次々に決まっていくのに、中々決まらず、親を心配させた。それでもゼミの先輩のルートで何とか就職することが出来た。
それに比べれば今の学生たちが気の毒でならない。尤も全般的に今の学生たちは世相の影響か、昔の学生のようにひたすら前向きに進むと言う感じを受けず、妙に余裕があるのか、あちらこちら目移りがしてじっと前を見つめて突き進む学生はあまり多くないような気がする。
2年前のリーマン・ショック以来就職状況は悪化の一途であり、「就職氷河期」と呼ばれた2000年前後でも60%台を維持していたことを考えると、今年の数字には極めて悲観的にならざるを得ない。特にこれまでと違って、大学院卒、理系が芳しくなく、これにいつも通り女子の内定率が低い。経済が沈滞して、就職先としての受け皿が大きく凹んでいることが致命傷であり、こればかりは経済界だけではなく、国を挙げて取り組まなければならない深刻な課題である。
今や昇り調子の中国でも、大学生の就職難は深刻な問題となっているようだ。しかも中国では大学生の就職難は日本以上に悪化して、精々内定率は40%というから驚きである。一部にかなり高いレベルを求める企業がある反面、ほとんどの労働市場は単純労働者を求めている傾向に原因があるらしい。結局大学出が就職するマネージャー・クラスの仕事が思ったほど多くないことが効いている。
一気に解決するのは難しいだろうが、就職内定率60%に対して求人率が1.28倍というのは、企業と学生の間のミスマッチを証明している。学生も高望みはほどほどにして、自分の実力にあう企業を探すよう頭を切り替えることも必要ではないか。