1296.2010年11月30日(火) 国家機密情報がネット上に流失

 警視庁公安部のテロ関連情報流出事件が、アメリカを始め国際社会から厳しい批判を浴びている。その中にはFBIの捜査資料や在日米軍の爆発物処理研修、アメリカ空軍特別捜査局機密情報等、国家にとって重要な機密情報が含まれていた。わが国の機密情報管理のあり方が国際社会において信用を失墜したことは紛れもない。

 ところが、それに輪をかけたような各国の国家機密がアメリカのネットを通して暴露され、国際的に蜂の巣をつついたような騒ぎになっている。なにせ先進国から途上国に至るまで国家元首や権力者の公的、或いは個人情報までが公開されるようでは、機密保持はどうなっているのかとの疑問や、それをどうやって入手し、公開されるに至ったかを不審な思いで見る国の責任者たちには不安が募っている。

 これらの内部告発情報をネット上で暴露したのが「ウィキリークス」というWEBSITEである。入手したアメリカの外交文書だけでも約25万件というから途方もない。暴露された大きな原因は、「IPルーターネットワーク」という米軍が秘密情報を交換する機関情報システムに、60万人以上の米政府職員と軍人らがアクセス出来たことにある。最近神戸の海上保安庁保安官が中国漁船のビデオをネット上に流したケースに似ている。流失した情報に国家の最高機密は盛り込まれていないようだが、それ以外の情報はその気になれば容易に入手可能ということだ。2001年の同時多発テロを防げなかった原因に、情報機関同士の縦割り制度があったと考えられ、それを補うために情報共有促進を図ったシステムが構築された。結果的に、それが裏目に出たようだ。

 今後このような抜け穴だらけの粗雑なシステムから、情報漏れを守ることに国家ぐるみで全力を傾注することだろうが、問題はすでに流失した情報の行方である。今日の朝刊と夕刊のトップ記事に、個人情報が面白おかしく紹介されている。

 例えば、「プーチン首相はバットマンでメドベージェフ大統領は相棒のロビン」「金正日は体がたるんだ年寄り」「サルコジ・フランス大統領は怒りっぽく独裁主義的」のようにとんでもない皮肉をもって伝えられている。

 アメリカも国際的な信頼を失う問題と捉え、クリントン国務長官は国際社会に対する攻撃だと強く非難して防戦に懸命である。だが、その内容はなるほどと頷けるように信憑性も高い。

 その中に中国が北朝鮮について語った内輪話がある。それは、①中国指導部内で韓国が主導して朝鮮統一がなされるべきだとの考えが浮上、②金正日総書記死後、北朝鮮は2~3年で体制崩壊、③中国の北朝鮮への影響力は信じられているよりずっと弱い、④中国は難民30万人の流入に対処可能、軍事的な国境封鎖も検討、などである。これらが本当だとするなら、すでに北朝鮮は中国に見放されているのだ。

 これは単なる情報流出だけに終らない。われわれの気持としても、朝鮮半島が緊張している時期が時期だけに安閑としてはいられないのだ。

2010年11月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com