早くも師走に入った。日本の各地では歳末商戦を見据えて、華やかなクリスマス・ツリーが飾られている。建設中の東京スカイツリーも今日500mの高さを上回った。来春には最高点634mに達するという。だが、そんなお祭景気はどこへやら、一向に景気が回復しないまま年月だけが過ぎ去っていく。経済も停滞し経済指標も芳しくない。株価は一向に上昇気配が見られず、失業率も5%を超えた。相変わらず大学生の就職内定率が伸びない。この行き詰まった閉塞感をどうやって解決すべきだろうか。答はまだ提示されない。
こんな暗い状況下で、政治資金問題で追い詰められ、国会で証言を求められている小沢一郎・前民主党幹事長の2009年政治資金収支報告書が公表された。驚くべきは、資金管理団体「陸山会」が昨年7月の衆議院解散から8月の総選挙公示までの僅か1ヶ月の間に、民主党立候補予定者91人に総額4億5千万円の資金提供を行っていたことである。つまりひとり当たり5百万円を提供していたことになる。この元金はどうやって集めたのだろうか。こんな金回りの良い親分なら、多くの子分が擦り寄ってくるだろう。当選すれば、当然子分は親分のために一心不乱に働く。こうして親分は組織の中で圧倒的な力を発揮することが出来る。この資金の分配は公職選挙法に抵触しないので、資金潤沢な政治家なら権力基盤を固めるために、出来れば誰もがやりたい方法だ。だが、他人のために自己資金の中から資金提供出来る政治家がそう多くいるわけではない。小沢氏にはそれがどうして出来るのか、ぜひ伺いところである。
ところが、やはり奇妙キテレツなカラクリがあるようだ。小沢氏関連の政治団体「改革フォーラム21」から3億7千万円が、選挙区のある民主党岩手県第4区総支部へ提供され、その翌日には第
4区総支部から陸山会へ手渡され、時間をかけて91人にばらまかれた。この資金の流れだけ見ていると、資金さえあれば問題ないように見える。ところが、最初の出所「改革フォーラム21」というのはそもそも旧新生党の団体で、新生党が解党した際残った資金約9億2千万円が代表幹事を務めていた小沢氏の手に移された。立候補予定者に提供された資金は、どうもその旧新生党からの迂回献金ではないかと言われている。
どうしても政治には、裏金とか、闇ルートとか後ろめたい動きや、噂が付きまとう。その代表格が小沢一郎氏である。これだけ灰色の存在であるにも拘わらず、小沢氏は自身の違法献金問題について国会で証言することもなく、国会は明後日閉会する。何とまぁずる賢い政治家どもと不毛の国会ではないか。