昨日仲井真弘多・沖縄県知事が首相官邸で菅首相と知事再選後初めて会談した。知事は選挙で公約した普天間米軍基地の県外移設を強く求め、国内移設は容認出来ないと申し入れたが、菅首相は5月の辺野古へ移設するとした日米合意に改めて理解を求め、両者の会談は平行線に終った。
どうもこの移設問題がギクシャクして、国と県が真っ向から対立する構図を作ってしまった。首相が沖縄の負担軽減策や振興策を提言したが、県民の意思と期待を背負った知事からは普天間基地問題と切り離して協議するよう求められた。
仲井真知事は元々県外移設一辺倒ではなく、条件付きで辺野古移設を容認していた。その知事が県外移設に考え方を変え、政府と真っ向対立の構図へ向かったのは、鳩山前首相が基地問題に関する理念も、移設の具体的計画も、外国との交渉も、沖縄県民への理解もなく、軽い気持で「普天間基地は海外移設、最悪でも県外移設」とアドバルーンを上げ、選挙マニフェストにも公約として盛り込んだことに当初力づけられたからである。沖縄県民ならずとも、基地の撤去を待ち望んでいた国民は挙って鳩山氏率いる民主党を応援し、政権交代を実現して民主党が政権の座に就いた。
だが、それは一夜の夢でしかなかった。元々首相の座に就いた鳩山由起夫氏には、日米同盟や基地問題に関して深い理解がなく、まったく理念や哲学がなかった。その結果が今春ふらふらした一連の基地問題への取り組みと対応である。自らの力で問題を解決出来ず、挙句の果てに無責任にも政権を投げ出してしまった。鳩山氏と民主党は、沖縄県民のみならず、米軍基地反対を叫ぶ国民を悉く裏切ったのである。問題をこじらせたのは、鳩山氏率いる民主党政権が迷走したからである。その意味では、現在の菅首相は無能首相だった鳩山由起夫氏の犯した粗相の尻拭いをしていることになる。
しかし、前首相の後継者である同じ理工系の菅首相には、それなりの覚悟があって後継首相になった筈である。菅流の理念と哲学を充分駆使して、沖縄知事を説得するか、納得させなければならない。そうでなければ、このまま双方に不信感だけが残されて、相変わらず国と沖縄県の対立が続けられるだけだ。アメリカ政府は一刻も早い日米合意の実行を望んでいる。かてて加えて、わが国としても朝鮮半島の緊張化がピークに達している現在、天の邪鬼・中国に文句を言えるのは、やはり頼りになる米軍の存在であり、アメリカの要求を断れない弱みと本音がある。
さあ、菅・軟弱首相よ、どうする? どうする?