新しくなった羽田国際空港へ妻に車で送ってもらい、初めてこの新ターミナルビルを使用してソウル金浦空港へ向かった。新空港ビルは斬新なデザインでテクノビルの感じであるが、広さもそれほどではなく、残念ながら新しい空港が出来たというわくわく感を抱かせてはくれない。これでは仁川空港や、シンガポールのチャンギー空港に対抗してハブ空港としては勝負にならないと思う。いざ搭乗となると大韓航空機へ乗り込むのに待合室からバスで案内されたのは、かなり時代に遅れているのではないかとややがっかりである。
今回の旅行は僭越であるが、次回の書き下ろし作品のために格安旅行で業績を伸ばしてきた阪急交通社・トラピックスの対応とツアー・ハンドリング状況をチェックするのもひとつの目的である。そんなわけで格安団体旅行に参加してみた。安いのは結構だが、以前から会社と旅行参加者のハートフルな交流が乏しいと感じていた。実際この会社は、2004年エジプト・アレキサンドリアで1ヶ月の間に2度もバスのスリップ事故を起こした。察するところタイヤが磨耗した古いバスを利用していたからだと、TRAVEL JOURNAL紙へ寄稿した。同誌編集長によると同社から拙稿に対して苦情らしきものが寄せられたという。詳細は不明だが、痛いところを突かれて後ろめたい点もあったのだろう。
申し込み段階から書類関係のやり取りでは、やはり不親切だと感じていた。やはり対応が冷たい感じがする。ところが、韓国でツアーが動き出すとツアーオペレーターは沢山のツアーを扱い慣れているせいか、そつなく今日1日のスケジュールを消化した。ガイドによれば、最近は圧倒的に阪急の牙城で、かつて盛んに送客していた大手業者のJTB、近ツー、日本旅行などでも、阪急の前では影が薄いそうだ。
金浦空港に到着してから高速道路を走って今年世界遺産に登録された安東河回村を訪れ、1時間たっぷり朝鮮の伝統的な民家を見学した。1999年にはイギリスのエリザベス女王が訪れた。
その後夕食を取って古都慶州のホテルへチェックインしたのは午後8時40分だった。この間走行距離約430㎞でかなり疲れた。外はやはり大陸性気候のせいでぞくぞくするような寒さだった。
ガイドは中々意欲的な中年の女性で、李玉女さんと仰る。いま緊張している北朝鮮との関係について韓国人の気持を話してくれた。ソウル市内を東西に流れている漢江を境に、北部の地域が北朝鮮との対決の影響から南側に比べて住宅が少ないと意外な話を聞いた。いざ北が攻めて来たら逃げ易いためだという。こういう話は現地でないと聞けない。更に韓国の人びとはヨンピョン島を砲撃して民間人を殺害したことについては休戦協定に違反していると厳しい見方をしていた。
ホテルは慶州のリゾートホテルで室内はオンドルで暖かく、これも経験だと思うが、インターネットの接続ができず、充電するコンセントが初めて見たタイプのもので持参したいくつかのオプションも使えずカメラ、パソコンの充電ができなかったのがやはり不満だ。
明日からどんなスケジュールで、何を見せてくれるのか楽しみにしている。 (韓国・慶州にて)