ぐっすり眠ってあたふたとバスに乗り込む。慶州は全韓国人が古都として誇りに思っている素晴らしい街だ。40年前にソウルで開催されたPATA会議に参加した時に、下関から関釜フェリーで釜山へやって来てソウルへ車で上る途中に訪れたことがある。随分綺麗になったと思う。だが、あまり昔のイメージが感じられない。全般的に少々垢抜けたように感じる。その後ここでエキスポが開催されたこともひとつの理由ではないだろうか。
ホテルの近くの小さな食堂でカルビ湯の朝食をいただく。母子3代でお店を切り盛りしているというが、皺のしわくちゃなおばあさんが日本語で気を遣いながらお愛想を振りまいている。資格を取ったおばあさんが、主として料理の献立を作っているという。
その後世界遺産に登録されている石窟庵と仏国寺を見学に訪れた。石窟庵への山道のアプローチはほとんど記憶がない。石窟もガラス越しで見学するようになった。仏国寺は有名な写真が取れる角度で数枚シャッターを押す。慶州観光で最近は取り上げられていない古墳内の見学がやはりなかった。その理由を明日ガイドさんに尋ねてみようと思う。
山菜ビビンバの昼食後、高速道を今日の宿泊地・温陽温泉へ向かった。約300㎞を4時間近くかけて走ったが、その間に外岩里民俗村に立ち寄り見学した。昨日訪れた安東河回村とは異なり住民が実際に生活している。観光客がづかづかと敷地内に入り込んで、住民に迷惑をかけているのではないかと少々気になったが、入口で入村料を支払うようだ。きっとその一部は住民に何らかの助成金として手渡されるのだろう。ここの雰囲気は日本の古き里山だ。
もう1ヶ所立ち寄った高速道のドライブインに米軍の軍用車と装甲車が数台やってきた。数人の米軍兵士の姿も売店で見られた。ヨンピョン島砲撃事件の直後でもあり米韓合同軍事演習が行われた時で、どうしても北朝鮮との対決を考えて無意識のうちに緊張感が走る。
今日宿泊したのは、温陽の街の中心にある陰陽観光ホテルで、この土地の最高級ホテルとの触れ込みである。阪急の日程表によると英語で‘ONYANG KANKO HOTEL’と紹介されていたが、インターネットとホテルの備品には‘ONYANG HOTSPRING HOTEL’としてあった。外国で「観光」をホテル名につけるはずがないではないか。この辺りも格安ツアー阪急の面目躍如というところである。高級ホテルであることは全体の感じと付属施設の充実さで納得出来る。室内はオンドルであるが、昨日のホテルに比べれば完全にオンドルを承知の宿泊客を対象にしているように思う。室内に入ると左右にトイレ・バスルームと押入れがあり、だだっ広い10畳ほどのオンドル一間にはテレビと低い整理棚、卓袱台がおいてあるだけで、押入れから布団を出す。困るのは、事務用テーブルがないことで、パソコンを打つのにも一苦労する。幸い今日は充電出来たこととインターネット設備があったので、何とか原稿をパソコン送信出来る。
このホテルは温泉を売り物にしているので、話の種に初めて韓国の温泉に浸かってみた。男女別々の大風呂で日本の温泉旅館とほとんど変わらず、ゆっくり寛ぐことが出来た。この温泉利用スタイルは日本人が教えたそうだ。
やや疲れ気味なので、好い加減な文をアップしてしまったが、何とか送信出来たので一安心である。明日は首都ソウルへ向かう。 (韓国・温陽温泉にて)