このツアーでは朝食をすべてホテル外で取ることになっている。今朝も外で食事をして高速道路をひたすら北上し、ソウル郊外45㎞にある世界遺産・水原華城を見学した。市内の目抜きにあって城内を車の往来の激しい道路が貫通している。城壁一周が5.7㎞でとても全体を見ることが出来ず、ごく一部の城壁を歩いただけだったが、まあそれなりに歴史を偲ぶことは出来る。しかし、周囲をビルに囲まれていて味気がない。どうも歴史の重厚さが感じられない。
午後訪れた2つの世界遺産、宣陵と昌徳宮は李王朝の墓と王宮だが、ソウル市内のいずれも交通至便な地にある。それでも水原華城ほど街の喧騒やビルが気にならない。昌徳宮では、ガイドさんが李王朝最後の王に、梨本宮家から輿入れされた李正子さんにまつわる話をしみじみされた。話によると歴代の后妃の中でも2番目に人気があった妃とか。
そう言えば、歴代大統領の中で1番人気の高かったのは、1979年に暗殺された朴正熙大統領だというのは意外な感じがした。軍人大統領として強圧的との印象が強かったが、私利私欲がなく国の発展のために献身的に努め、亡くなった時大統領の私財はほとんどなかったと言われている。その朴大統領が戦後悲運な境遇にあった李正子さんの生活を気にされ、国の費用を捻出して面倒をみたという。その点でも朴正熙大統領の真面目な人柄が窺える。
今日訪れた3つの世界遺産に、6日の安東河回村を加えると、これで私が訪れた世界遺産は156ヶ所になる。これもひとつの勲章と考え、出来ればこれからも200ヶ所を目指して旅を続けたい。
夕食後は今売り出し中のNANTAのコミカルな芸も観てみたいと興味があったが、今回はコリアハウスで公演中の伝統芸術を鑑賞した。韓国の伝統芸能というと必ず演奏されるアリランや、韓国民族舞踏の扇子舞があるが、それらを充分楽しむことが出来た。
今朝ソウルで雪が降ったとは聞いたが、午後遅くなってからかなり激しい雪がみぞれに変わり、コリアハウスを出てから繁華街明洞を「銀ブラ」していた時はかなり降っていた。それにしても、東京で今年はまだ雪にお目にかかれないが、外国のソウルで初雪に会うとは旅の意外性と妙味であろう。
今日はあのビートルズのジョン・レノンが暗殺されてちょうど30年目になる。先日解団した「チボリ会」の先生方とともにマルセイユ滞在中の30年前の今日、号外でジョン・レノンの死を知ってびっくりした。まさに「光陰矢の如し」である。静かに雪のソウルでマルセイユを想う。(韓国・ソウルにて)