1310.2010 年12月14日(火) 楽しいゼミ仲間との語らい

 先月14日の朝日新聞書評に社会学者・加藤秀俊先生の「常識人の作法」(講談社刊)が紹介されていた。書評したのは江上剛氏である。江上氏は作家であるが、元銀行員(みずほ銀行)であり、最近まで経営の苦しくなった日本振興銀行から経営建て直しを頼まれ代表取締役社長を務めていた。しかし、結果的に江上氏の思うようにはならず、社長の地位を去ったばかりである。その江上氏が加藤先生の随筆の感想を書いている。

 冒頭から「痛快、愉快、爽快。本書を読むと、そんな言葉がすぐに浮かんでくる~」というように、確かに抱腹絶倒ものである。最後に「私たちが常識だと思って気にもとめない多くのことが加藤さんから見れば、実は非常識極まりないことばかりだということに目を覚まされ、たたきのめされる。それがなんとも心地よい。加藤さんは高名な社会学者で、現在80歳。もはや怖いものなんかなんにもないんだろう。ああ、うらやましい」と結んでいる。今どき加藤先生のように急所をずらしたような指摘の仕方で、しかもユーモアがあり、なるほどなるほどと頷いてしまう文章はそうざらにお目にかかれない。特に、「科学と感性」編の「開花宣言のふしぎ」が面白い。軽妙洒脱な文体で現在の科学とか合理性を皮肉っているのだ。

 加藤先生とは何度かお会いしているが、いつぞやはシカゴ博物館に展示されているホルマリン漬けされた人間肉片スライスについて意気投合して語り合ったことがある。社会を独特の見方で観察する、感性の鋭い社会学者である。拙著「停年オヤジの海外武者修行」上梓に際して、先生から授かった言葉「知的道楽」を使用すべきかどうか考えあぐねご相談した時に、「会話の折に不意に口を突いて出た言葉に知的財産とか、知的所有権なぞあり得ようはずもなく、どうぞ自由にお使い下さい」とお便りをいただいた。

 同じ世田谷区にお住まいの中々愉快な先生で、世田谷区には「沢」がつく地名が5つ(駒沢、深沢、野沢、北沢、奥沢)もあり、馬と関係が深い地名(上馬、下馬、駒沢)もあるなどと世間話も愉しい方である。とにかく面白い。ぜひお読みになることをお薦めしたい。

 今日はゼミの忘年会で、毎年のように下北沢のイタリア・レストラン「JACK POT」で、生牡蠣料理を食する。学校関係でいくつもの集まりがあるが、今になって三田の大学専門課程で学んだ飯田ゼミほど郷愁を感じるアカデミックなグループはない。先日の浅草のオーケストラ演奏会でも声をかけると錦の御旗に何人かのゼミナリストが集まってくる。これは飯田先生のお人柄もさることながら、ゼミ会員が在学中ゼミで、また卒業後もゼミで学んだことをベースに向上心を失わなかったことが大きいと思う。

 今日も11人の仲間が集った。出てくる話題は、最近の民主党政権の頼りなさに対する不満である。つい最近利光さんは、何人かの同志とともに岡田幹事長に会った時に、それなりの提言をしたと仰っていた。冗談半分にわれわれが内閣を組閣した方が、よほどましな政策実行が出来るのではないかという幻想とも言えないジョークが出るくらいだった。誰に聞いても民主党に対する不満が口をついて出てくる。こんなことで良いのだろうか。

2010年12月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com