長崎県諫早湾干拓事業の潮受け排水門を13年ぶりに開門することに政府が同意した。福岡高裁の判決に対して上告しないと判断したのである。外野から見ているとどういう判断が正しいのか、またその判断が関係者に実質的な損害を与えないのか即断は出来ない。かつて菅首相は野党時代に、この排水門は税金の無駄遣いではないかと強く非難していた。それゆえ排水門を使用しなくなるということは菅首相の当初の考えと矛盾するものではない。
しかし、この判断によって対立と膨大な無駄が生じる。巨額の資金を投資して排水門を作り、漁民の生活を脅かし、新たに干拓地で農業に従事する農民が生まれた。今回の判断はこのサイクルを元へ戻すことになる。漁民は元通りに漁獲を得られるようになり、その一方で農民は生活の基盤を失うことになるわけである。
これと同じことは群馬県の八ツ場ダムでも行われている。ここでは民主党政権により建設中のダム中止の決定が出た。これまでに注ぎ込んだ投資を今後どう回収しようというのか。八ツ場ダムでは、馬淵国交相のごときは再び計画推進の発言をしている。この無責任な決定に振り回され困っているのはその周辺に暮らす人々である。どうしてこういう大事な問題を、建設から中止へと簡単に覆すのだろうか。
もう少し慎重に検討して結論を出してもらわなければ、周辺住民が苦しむだけである。
先日来もめにもめている名古屋市議会リコール問題も住民不在で厄介である。これは河村たかし市長の個人的なパフォーマンスが極端に表出し過ぎているように思う。先日解散を求めた住民による署名でほんの僅かであるが、定数に達しなかった。これで市議会解散は流れたかに見えたが、署名の無効数に異議ありとして再審査したところ、今日になって無効署名の内、相当数の有効署名が認められてリコールは成立し、市議会は解散することになった。
これにはまだおまけがつく。当初署名が予定数に達しなかったと市長は辞任を決意し、改めて市長選挙を実施して信を問うと言っていたが、これもおかしな話である。目立ちたがりやの市長は考えを変える気はなく、約束通り辞任してもう一度市長選での当選を目指すらしい。
これこそ政治の停滞であり、費用と時間の無駄遣いではないか。こういう無駄の屋上屋を重ねるようなことは止めて欲しい。
今日はJAPAN NOW観光協会の定例企画会議と出版記念会を兼ねた忘年会がいつも通り海事センターで行われた。
企画会議は取りとめもない個人的な話だったが、先週訪れた韓国で感じたことを話した。朝鮮半島の雰囲気、米軍装甲車の隊列、ソウル市内の住宅事情、朴正熙大統領の人望、李正子さん、韓国人のお墓等々について雑駁とした内容について述べた。しかし、忘年会の席で松尾道彦理事長と朝日記者だった加納隆さんから、韓国の話は良かったと言っていただいた。