1319.2010年12月23日(木) 河野雅治・駐ロシア大使更迭される。

 今日は天皇誕生日で祭日に当たり、昔風に言えば天長節で旗日ということになる。60年以上も続いた昭和天皇の天皇誕生日から、漸く最近になって今上天皇の誕生日が時期的にも馴染めるようになってきた。今上天皇と美智子皇后には優しい印象があるので、不幸にして戦争のイメージを払拭出来なかった昭和天皇に比べれば、国民からの敬愛の念は強いのではないかと思う。

 韓国のヨンピョン島へ北朝鮮が砲撃を加えて、今日でちょうど1ヶ月になる。韓国軍は3日前の海上軍事訓練に続いて、今日は空陸一体となって北朝鮮国境近くで砲撃訓練を行った。北は事前にやればやり返すような強硬なコメントを述べていたが、今のところ静かである。このまま平穏であって欲しいものである。

 さて、昨日のニュースによると駐ロシア大使の河野雅治氏が更迭されることになった。メドベージェフ大統領の11月の国後島訪問の情報を事前に入手出来なかった、重要情報収集力欠如の責任を問われた模様である。この裁断が下される前に、実は今月初発行の月刊「選択」12月号に河野氏の大使としての外交能力を疑問視する記事が掲載されている。確かに自分が勤務する国の最高権力者の行動が直前まで分らないのでは、出先の外交責任者として外交情報の入手はどうなっているのか政府首脳が訝しがるのも当然である。

 かつて鈴木宗男前代議士の「ムネオハウス」が、疑惑の俎上に上がった際、モスクワの日本大使館勤務の佐藤優外交官のロシアにおける並外れた行動ぶりが、外務省のような保守的な空気の中では必ずしも好意的に評価されず、外務省職員として職務停止の状態に留められ、今も裁判中で休職扱いである。その後佐藤氏の著書を何冊か読んでみて、その規格外れの行動力に目を見張った。佐藤氏の講演を聞いたり、直接話を伺ったこともある。

 佐藤氏は浦和高から同志社大学神学部を出られた。在学中に湘南・浦和高定期戦で、湘南高を訪れたこともあると言っておられた。佐藤氏の話を聞いてロシアのような魔界的な国では、危険を冒してでも政界内部へ食い込み人間関係を築いて、コンフィデンシャルな情報を入手する必要があることを痛感した。そこまで蛮勇を奮える外交官の数が少なくなったようだ。得意のロシア語を駆使してロシア政界内部へ切り込んでいく豪胆さを持ち合わせていた佐藤氏は、ノンキャリアである。スパイ視される危険を承知のうえで、相手の懐へ飛び込まなければ重要情報の入手は容易ではない。これがエリートには中々出来ないのではないか。これは佐藤氏の話と著書から感じたことである。その点で現大使の河野流のパーティ外交では限界があったというべきであろう。

 後任には、現チェコ大使の原田親仁氏が就任すると見られているが、「選択」では原田大使は既定路線と見ていて次のように手厳しく論評している。ロシアスクール出の原田氏はドン的な人材ではなく、保身を考えるような人物と同列にあると辛口の評価である。外務省にはしたたかなロシア・クレムリンと正面から交渉出来る外交官はいないとクレムリンにも見抜かれているようだ。

 身の危険を冒してまでも情報収集に当たるべきかどうかについては、議論の分かれるところだが、こういう特殊な国を相手にする場合は、相当語学に秀でた外交官に長期間勤務を継続させて人間関係を構築することが大切ではないかと思う。

 いずれにせよ、政治家がダメなら、外交官もダメ。これでは今後うるさ型で百戦錬磨の各国の首脳陣を相手にどうやって外交問題を解決していこうというのだろうか。どうも心許ない。

2010年12月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com