今日は毎年恒例の「ヨタロウ会」の忘年会。小中陽太郎さんを敬愛する人たちの懇親会である。この会の瀧澤陽子さんは、もう幹事役を20年も務めておられるという。
会場は池尻大橋の「河豚鮮」でフグ料理を提供する中々の老舗らしい。残念ながら高級・高価なために量的にふぐ刺しが少なく、ほんの2切れしか賞味出来なかった。会費を考えれば、それも已むを得まい。集まったのは約20名で、皆好き勝手なことを言い合い打ち解けて会話と食事を楽しむ人たちの集まりだ。今日の話題のひとつは、市川海老蔵のスキャンダルだった。海老蔵が事件後記者会見を行った時に、芸能レポーターであり目黒区議会議員でもある須藤甚一郎さんは出席し、質問もされたという話だった。他にもNHKの大原雄さんから海老蔵と歌舞伎について薀蓄を伺った。
さて、世に読書離れが言われて久しい。そんなところへ電子書籍化が進んで出版業界にも新たな関心と話題が舞い戻ってきた。
それに関連して、新聞の連載小説にどれほどの読者が熱心に読むのか定かではないが、少々関心を持っている。私の場合朝刊と夕刊の2小説、2紙だと4小説を読むことになる。これは毎日少しずつ読むことになるので、1日で内容的に大きな変化はないが、毎日読んでいると徐々に興味も湧いてきて、結構その日の楽しみにもなる。
中には話題となり、ベストセラーとなる連載小説もある。今読んでいる日経、朝日の4つの小説は、興味のある小説とまったく面白くなく陳腐な小説の真っ2つに分かれる。
つい最近まで日経夕刊に「無花果の森」という恋愛小説というか、官能小説が連載されていた。この道では知られた書き手の小池真理子が筆を揮ったもので、毎日読んでいて面白いと感じていた。ところが、先日突然のように連載に終止符が打たれたのである。僅か240回程度の連載である。まだ、話が続けられると考えていたので、この先わけありの男女がどういう結末になるのかと期待していたが、強引にジ・エンドを迎えることになってしまった。どう考えてもまだ終るべきストーリーではない。それが突然ヒーローとヒロインが葬儀の帰りに出くわし、後先考えずに手に手を取ってどこかへ行ってしまおうという、降って湧いたような設定で終焉となってしまった。どうも中途半端な気がしてならない。
これに似たケースが朝日夕刊にも見られる。現時点では、まだ連載中であるが、予告によりまもなく終る。中国人作家・楊逸の「獅子頭」という中華料理のコックを扱った小説である。これだって260回ほどで突然の終りである。若い中国人コック夫婦が離婚して、縒りを戻そうとしている過程にあり、まだ話は佳境にも入っていないと思う。まだまだどんな展開になるのか固唾を飲んで見守っているのに、話は一方的にお仕舞いである。果たして書いている作家は納得して思い通りに話は進んでいるのだろうか、中途半端で話を終らせる新聞の意図がよく分らない。
一方で、朝日朝刊に連載中の川上弘美の「七夜物語」が今日460回目だ。川上は現代女流作家の中でボス的存在となって隠然たる力を発揮している。だが、この話はだらだらと似たような話が繰り返され、挙句に小学生が魔界へ紛れ込んだり、現世へ戻ってきたり、小学校周辺の話が延々と続き、冗長でおよそ奇想天外な話である。もっとテンポを早めて欲しいと思っているほどだ。それなのにまだ終らない。
最近の読み物が面白くないのは、「なぜだ?」「なぜだ?」があまりにも多すぎるからではないか。新聞小説にも似たようなことが言える。