民主党内の菅首相と小沢元代表との対立が先鋭化して、一向に政治が前へ進まない。2人とも言うことは理解出来ないこともないが、国民のことをまったく考えていないと言える。政治が劣化したまま今や日本は漂流状態にある。
この対立とは少々異なるが、NHK次期会長人事がどうやら泥試合の様相を帯びてきた。今月24日で任期を終える福地茂雄・現会長の後任会長選任が右往左往してもめている。そのザマはあまりにもみっともない。今日の朝日、日経夕刊トップ頁にも大きく取り上げられているが、この間の経緯を見ていると、現在の日本外交の縮図を見ているようだ。誰が責任者で、誰が決定権を持っているのか、また決定を覆す異常な行動など、大組織としてはまったく常軌を逸している。
現会長の固い辞任の決意を受け、任命権を持つ経営委員会が当初前慶応義塾長・安西祐一郎氏を後任に選出し、小丸成洋委員長が安西氏に就任を要請し、固辞していた安西氏が漸く受諾した。ところが、その後経営委員会の一部委員が安西氏の会長就任に難色を示し、安西氏が会長就任に条件をつけたと言い始め、反対を唱え出した。真偽のほどは分らないが、これに嫌気がさした安西氏が今日になって会長受諾を拒絶した。
現会長は24日までに新会長を決めると述べているようだが、これだけこじれると外部からの引き受け手がいなくなるのではないだろうか。密室の決定で、当初12名の全経営委員が安西氏を会長として選んでおきながら、後になってその内の数名が安西氏に反対を唱えたという。この行動も大人気ないし、理解出来ない。
委員の間に安西氏に対してどういう不満があるのか不明だが、安西氏が慶応義塾塾長を辞めざるを得なかった原因も尾を引いているのだろうか。一昨年明らかになった慶応の投資資金回収不能額が500億円を凌駕するほどの金額に上った。そのために慶応義塾創立150周年記念事業のひとつが延期されることになった。塾長から身を退いたのは、その責任を取ったのではないかとの噂があった。
しかし、それはNHKにはまったく関係のない事件であり、一旦は会長就任を強く要請しておきながら、時を置かずに会長就任を辞退するよう圧力をかけたという、NHK経営委員会こそ組織として機能していないのではないか。それにこの間小丸委員長が頼むだけ頼んでおいて、手のひらを返すように撤回を要請する行動も理解に苦しむ。
いずれにしても伏魔殿・NHKらしいドタバタで、天下に恥を晒し見苦しいことおびただしい。