1339.2011年1月12日(水) あな珍しや! 「資本論」

 自由が丘駅前書店で雑誌「週刊ダイヤモンド」の他に、2冊の書を買い求めた。雑誌の特集にマス・メディアの凋落について面白そうな記事が載っていたので、つい興味本位に買ってしまった。昨年「週刊東洋経済」でも同じようなテーマが特集として採り上げられたことがある。当特集は題して「新聞・テレビ-勝者なき消耗戦」。題名通り新聞とテレビの低迷ぶりを多面的に採り上げている。今や新聞とテレビの広告料が激減し、新聞定期購読者が減り、それに拍車をかけるようにインターネットが強敵としてクローズアップされてきた。待遇面では産業界でもトップクラスで好景気を謳歌してきたが、今や下降線を辿っている。今のところ給料を下げるという話は聞かないが、番組制作費は大幅に削減するようだから、またぞろ低俗番組が氾濫するのではないか。バカ騒ぎをするような白痴番組だけは御免蒙りたい。

 本誌は結構面白そうな特集なので、これから楽しみに目を通したい。この特集号の価格が690円とかなりいい値だが、つい衝動買いしてしまったイースト・プレス社の「あらすじとイラストでわかる資本論」は240頁で何とたったの500円である。本命として購入した寺島実郎著「問いかけとしての戦後日本と日米同盟-脳力レッスンⅢ」(定価2,100円)に比べて格段に安い。

 紙質もザラ紙でよくないが、つい「資本論」というタイトルにつられて買ってしまった。それにしても今どき賞味期限の過ぎた「資本論」関係書が駅前書店に置かれているのが珍しい。今や社会主義、共産主義国家ははっきり言ってこの世から消滅してしまった。そんな共産主義国家の土台だった社会主義思想もバイブルである「資本論」も、現代の学生らを中心にあまり読まれなくなったようだ。とにかく内容が難しく、私自身学生時代にマルクス経済学系統のゼミで学んだだけに、当時恩師からは出来るだけ「資本論」をかじるように言われた。だが、とても歯が立たず青木書店の「経済学教科書」で済ませてしまった。

 1979年にブルガリアのプロブディフで経済高校を授業参観した時は、板書された図の説明を聞いているだけで、多少は「経済学教科書」を読んだお陰か、言葉は分からずとも授業内容を多少理解出来たのが嬉しかった。その後1983年に旧東ドイツのカール・マルクス・シュタット(現ケムニッツ)という街に滞在して学校訪問をした時に、共産主義の暗黒的なゲシュタポのような、軍の監視に恐怖感を抱いたこともある。社会体制に矛盾を抱え、歴史の激動もあって、結局共産主義国家は崩壊した。今日も共産主義を唱えている中国は自由と人権の抑圧国家となり、北朝鮮は金正日一族の独裁国家となった。マルクスが唱えた人民を救う国策が、国民を蹂躙する国家となっている。崩壊したソ連や東欧諸国、現存するキューバやベトナム、異色の共産国家・中国と北朝鮮を含めて、共産主義国家はすべて「資本論」を踏み絵にして国家を造り上げ運営してきた。

 「まえがき」を読むと、本書は「あらすじ」と「解説」に分かれているという。その「まえがき」では、現在の世界経済不況は資本主義のひずみから派生したものだとマルクスが150年前に予言したと論じ、現在の問題点をマルクスはお見通しだったということも書かれているようだ。

 今更本物の「資本論」を読んで噛み砕く力はないが、この「資本論」ダイジェスト版で久しぶりに社会主義に向き合ってみようと思う。

2011年1月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com