今朝のテレビ報道番組を観ていて胡錦濤・中国国家主席が今回の訪米で国賓待遇を受けたことにやっと納得がいった。つまり胡主席は5年前訪米してブッシュ大統領と首脳会談を行ったが、その時は中国政府の強い要請にも関わらず、アメリカ政府は国賓としての待遇を受け入れなかった。しかし、今回中国はアメリカ政府へ充分な根回しのうえ強く要請して胡主席は、初めて国賓待遇を受けることになった。アメリカは中国の強い存在感と経済力に敬意を表して、最高の儀礼で胡主席をもてなしたということになる。これで面子を重んじる中国の体面は保たれ、加えて世界に中国の存在感をPRすることが出来た。
それにも拘わらず、これまでの米中関係の歴史から、アメリカ国内では胡主席を国賓として迎えることに対して政府部内の一部に強い反対があった。中でもオバマ大統領主催の歓迎夕食会に招待された、下院議長が出席を拒否したり、世界最悪の人権蹂躙者をホワイトハウスへ招待することに反対であると露骨に非難した議員もいた。また、両首脳の記者会見では劉暁波氏の身柄拘束やチベット問題など人権問題に対する質問を受けた胡主席が狼狽して率直に応えなかった場面があったが、これは同時通訳が訳さなかったとも説明された。胡主席は各国にはそれぞれの国情があると理解を求めた。どうも人権問題にかかわると急に不自然、無視、回避の姿勢が目立つのが相変わらずの中国の対応である。
今日の朝日朝刊でマレー鉄道の記事が目についた。それによると今年7月1日に現在のシンガポール駅が廃止になるという。マレー鉄道シンガポール領内北端のジョホールバールとこの駅間の鉄道を撤去してシンガポール駅は国境のウッドランズに移転する。この駅から北上してバンコックへ向かう場合は始発駅でもあり、それほど印象に残ることはないと思うが、バンコックから南下して最後にマレー半島を縦断して最後に辿り着くシチュエーションだとついエモーショナルな気分に捉われる駅である。何でもこの線路用地はマレーシア領地だったが、今回シンガポールに返還されるのに伴い線路を撤去するようだ。それにしても惜しい。バンコックから約2,000㎞だが、この廃止により距離が1%分、約20㎞短縮されることになる。それにしても、観光的にも魅力のある鉄道遺産のような価値のある鉄道をこうも簡単に廃止してしまうのはもったいない気がする。私自身この鉄道には全線を6回も縦断したので強い思い込みと未練があり、人一倍残念だという気がする。実際ヒット企画商品「マレー半島縦断鉄道2,000㎞の旅」を何度も企画して、下見調査や添乗員としても、また個人的な旅でもしばしばこの駅を利用した。このツアーは大当たりで何度もリバイバル商品として販売し、会社の名を高からしめた。今もってWikipediaで会社紹介を観るとマレー鉄道のツアー企画で知られると絶賛してくれている。
しかし、一部のオリエント急行が姿を消していったように、情緒のある鉄道の旅は採算的にも成り立たなくなってきたのか、駅ですら消えてしまうのが実に惜しい。私の海外旅行業務を大きく占めた、このマレー鉄道には殊更思い込みが強い。多少路線が削られたとはいえ鉄道がなくなるわけではないので、いつかまた乗ってみたいと思っている。