1351.2011年1月24日(月) 自己流を貫く政治手法と政治の停滞

 今日から衆議院で通常国会が始まった。菅内閣は沈没直前のドロ船と揶揄されていて進路はまったく見通しが立たない。しかし、溌剌さが感じられない菅内閣もそうだが、衆議院議会場全体に沈滞した空気が流れ、菅首相以下大臣の所信表明演説を居並ぶ大臣や議場の議員先生はただ黙って、或いは居眠りしながら生気のない顔つきでぼんやり聞いているだけの情けない雰囲気が漂っている。

 各大臣のスピーチの中でも前原外相が述べた日本外交の進むべき道について、ひとつひとつ話す内容は誰が考えたのか知らないが、抽象的で実現性がまったく感じられない。例えば北朝鮮外交について、6ヶ国協議と並行して日本独自に北へアプローチする所存とのことだが、一体何をどうするのか。中身を語らないでは分らないではないか。これまでやってきたつもりの実のない対北外交を、まだ繰り返すことを表明しているだけに過ぎないではないか。

 それにしても一言で言えば、国会開会初日なのにまったく迫力もなく、精彩も欠く議場風景である。こんなことで日本政治のガバナンスは大丈夫だろうか。

 中央政治が頼りにならなくなったが、一方で地方政治も民主主義の根幹に関わる茶番劇を演じている。昨日名古屋市長選が告示され4人が立候補した。河村たかし前市長と市議会の対立が原因で、前市長が任期途中で辞職して信を問うと改めて行われる市長選である。行政の停滞、無駄な費用支出に市民もしらけているのではないだろうか。

 更に在任中専決処分ばかり行って議会と真っ向対立してリコールを成立され、選挙で落選した鹿児島県の竹原信一・前阿久根市長、そしていずれマグマが噴き出すであろう橋下徹・大阪府知事の言動等々、話し合い拒否で力づくの政治手法の横行は、民主主義に逆行するものであり、問題点を白日の下に曝け出すだけである。

 例えば、名古屋では河村前市長の提案である市民税10%減税、阿久根では竹原前市長が提案した市議会議員を16人から6人へ減員、大阪府では橋下知事の大阪市をなくして二重行政の廃止、大阪府を大阪都とする構想、などはもう少し時間をかけて住民が選んだ地方議会で徹底的に議論すれば良さそうなものだが、権力者というのは自分の描いた図式通りに政治を牛耳りたいのだろうか。

 民意にもっと真剣に耳を傾ける気持がないと、似たような政治の停滞は今後も起るのではないかと些か気になる。

 流石に一般からもチクリと批判的な声があがっている。今朝の朝日「声」欄に相模原市の70歳の読者から「首長の方針に反対する議員を選んだのも、その自治体の住民である。この事実を直視せよ」と頷ける意見が載っていた。

 タイムリーにも明日会員である政策シンクタンク「構想日本」で、「統一地方選を前に、地方自治体の本質を考える」とのテーマでフォーラムが開催され、パネリストとして竹原信一・前阿久根市長が出席される。どの程度本音を話されるか、楽しみに久しぶりに参加したいと思っている。

2011年1月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com