1360.2011年2月2日(水) エジプトに隠れてビルマの民主化が怪しい。

 ついにムバラク・エジプト大統領が折れた。来る9月の大統領任期満了まで任務を全うし、大統領選に立候補せず引退するとテレビ演説を行った。国民の要求に屈したのである。しかし、これで問題が解決したわけではない。国民は9月まで待たずに、今すぐに辞職せよと強く要求し、デモの勢いが衰える気配はない。さあ、ムバラクどうする? アメリカ政府も現時点で民主的政府への移行を求めている。アメリカはムバラク大統領を完全に見限ったのである。明後日の金曜日がイスラム教徒の求める大統領辞任の期限である。

 さて、エジプトにばかり目が移っている間に、アジアの非民主化国家ビルマの政情が注目を集めている。国際社会の批判をかわすために見せかけだけの民主的な国選を行い、同時に民主化運動のリーダーであるアウン・サン・スー・チーさんを軟禁から解放し、国際社会の声に耳を傾けたようなジェスチャーを演出した。

 昨日新しい議会の下で初めて偽装民主化議会が開かれた。今度の議会で注目されるのは、軍人出身者が大多数を占める議員による3人の副大統領候補者の選出である。意外なのは、軍政のトップに君臨し、悪評高いタン・シュエ・国家平和発展評議会議長がその副大統領候補者に自ら名乗り出なかったことである。3人の候補者から大統領が選出される決まりになっており、このままではタン・シュエ氏は大統領の地位に就けない。ただ、国際的な評価を意識して敢えてトップの職に就かなくても、背後から政治を操ることが出来る軍政翼賛政党「連邦団結発展党(USDP)」名誉総裁の地位に就くのではないかとの見方もされている。いかに77歳の高齢とはいえ、したたかタン・シュエがこのまま消え去るとは思えない。

 スー・チーさんの静かな活動もやや気になるところである。厳しい自宅軟禁に懲りて正面から軍政を批判する行動には今のところ出ていない。そこまで軍政はスー・チーさんの気持をひるませてしまったのか。これでは当分の間ビルマの民主化は望むべくもない。

2011年2月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com