1362.2011年2月4日(金) 中国人とのビジネス・パートナーシップの要諦

 「JAPAN NOW観光情報協会」の定例観光立国セミナーが開かれ、山下巌・ラオックス顧問が「中国企業の傘下に入ったラオックス」というテーマで講師を務められた。大手家電量販店・ラオックスは山下氏が社長だった2009年6月、中国の蘇寧電気と資本提携した。まさに山下氏は提携ドラマ仕掛けの中心人物だったのである。1990年に現在47歳の張近東氏が設立した蘇寧電気は、今日ではその従業員数は12万人を数え、2009年の年商は1兆6千億円を売上げている成長著しい新興企業である。

 中国資本の受け入れ提携契約前、ラオックスの外部役員は、全員がこの資本提携に反対だったという。反対の理由は、上場会社だったラオックス株式の34%を獲得した蘇寧側に主導権を奪われるとの懸念があったからである。山下氏の話では、ラオックスはその当時7年間に亘って赤字決算が続き、金融機関からの融資も得られず、経営は破綻寸前だったという。このままでは資金がショートして破綻すると考えた山下氏は、敢えて周囲の反対を押し切り提携話を進めて中国企業の傘下に入った。

 この過程で湘南高同級生大塚武夫くんが関係する中文産業の紹介と斡旋により、蘇寧電気が融資を引き受けることになり、蘇寧とラオックス両社間に協力関係が築かれた。当初中国企業との資本提携の説明を金融庁が受け入れてくれず、納得して理解してもらうまで大分苦労したと話された。蘇寧側にも販売戦略上「ラオックス」のブランドに強い関心があり、結果的に中国市場にも店舗展開を図ることが出来て、日本国内のラオックスの経営状況も回復している。本社は日本に置いているが、ラオックス役員の7人のうち5人が中国人で、会議は中国語で行われ、社内も中国語が飛び交っている。それでも会社と社員にとって経営が安定したことにより、ハッピーだと感じられるようになったという。

 一般論として、日本人の間には中国企業のみならず、外国企業による企業買収、或いは資本提携に関しては些か抵抗感がある。国もそう考えているようだし、企業の当事者である役員もそうだ。

 しかし、山下氏はこの資本提携をやって良かったと述べておられた。実際行き詰まった企業が外国企業の資本融資によって立ち直り、経営が安定し、そのことを社員は幸せだと感じている。オーナーがどこの国の人であれ、会社が繁栄し、社員が恩恵を受け、幸せだと思うなら、あまり気にする必要がないとも山下氏は言っている。国際時代のビジネスというのは、そういうものなのだと思う。

 今日のセミナーでは、外国企業との資本提携の実務経験者が企業の国際業務提携話の内部事情を率直に話してくれた。その他にも「簡単には他人に頭を下げない」「メンツを重視する」「実利的である」と中国人の特徴、性癖について話してくれた。中国人をビジネス・パートナーと考えた場合の要諦を伺えたように思う。

2011年2月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com