一昨日2010年名目国内総生産(GDP)で中国が日本を追い越し、アメリカに次ぐ世界第2位の地位にのし上がったことが正式に発表された。早くから予想されていたことでもあり、数字自体には格別驚くこともないが、それでも中国経済の成長スピードには驚嘆させられる。この10年間の日本の成長率が実質0.7%に留まる一方、中国は10.5%に達する猛スピードの成長率である。このままいくと15年後にはアメリカを抜いて中国は世界第1位の経済大国の座を占めることになるらしい。
菅首相はやせ我慢だろうか、近隣の国が経済成長することは歓迎すべきこととコメントしている。しかし、いくら経済界、産業界が頑張ったところで、今の日本の政治状況を見ているとノー天気の菅首相のように超然としてはいられないのではないか。
このGDPの数値は1人当たりでないところが味噌で文字通り総計であり、当然人口の多い国が有利である。その点では国民の生活レベルを正確には表していない。中国が日本を追い抜いたことに、中国市街でのインタビューで中国市民はほとんどが誇らしげに自分たちの国に誇りを持っていて、いずれアメリカも追い越すと自信たっぷりに語っていた。その中でインテリ風の中国人は、1人当たりの所得を見ると日本の約1/10であるので、これが日本に追いつくことが出来れば嬉しいと冷静な分析をしていた。実際中国の地方都市に行けば、国内の経済格差はもちろん、いかに農村部が貧しいかということを目の当たりに知ることが出来る。富の蓄積というものをどう捉えるか、数字だけでは図り知れないものをどう理解するのかという点を論議しなければ、数値だけでは表面的で通り一遍のものになってしまう。
さて、久しぶりに日本ペンクラブ例会に出席した。今日は定例の著名人による30分ほどのショートスピーチがない。その代わりに新入会員紹介で、あれっと思う人が紹介された。誰あろう、ギニアのオスマン・サンコンさんである。テレビタレントとして知られているが、文筆家とは知らなかった。だが、サンコンさんは元々パリ・ソルボンヌ大学を出たインテリで、数ヶ国語を話す。少し話をしたが、意外に小柄で如才なく中々愉快な、テレビで見る通りの人だ。その他にも阿刀田高会長、西木正明さん、轡田隆史さん、堀武昭さん、吉澤事務局長ら何人かの人と短い会話をした。終って2次会は、小中陽太郎さん、大原雄さん、西原健二さん、ヨタロウ会幹事の瀧澤ご夫妻と有楽町ガード下の「金陵」で、昨年の国際ペン東京大会について議論が沸騰した。5月の総会で報告されると思うが、国際ペン東京大会も史上最大規模で成功裏に終ったが、その裏には相当苦労話も隠されているようだ。ペン理事会の会議内容などを聞いていると、社団法人ということもあり、普通の会社組織とは大分異なる組織団体であることを知らされる。やはり利益追求団体ではないからだと思う。何かにつけ引き合いに出されるのはいま話題の財団法人日本相撲協会である。かなり率直に話し合ったので、小中さん、大原さん、瀧澤ご夫妻らの激論は傍で聞いていて中々面白かった。
小中さんからいただいたフルブライト同窓生の機関紙‘NEWS LETTER’2010 年12月号の表紙に高校先輩の根岸英一博士の顔写真が掲載されている。実は、3月18日に母校・湘南高校の東京有志会で根岸博士が講演されるのを機会に、根岸博士の言葉を引用した拙著を贈呈するつもりであることを小中さんにお話したら、それならと最新号をご持参いただいた。そのうえ同誌の最初の文章は同じフルブライトの小中さんご自身がペンを取っておられる。根岸博士にお会いする際、この同窓会誌をお持ちしようと考えている。