今シーズンは1度も観戦しなかったラグビーもシーズンの終わりが近づき、来週には日本選手権の決勝戦を迎える。今日は準決勝2試合をたっぷりテレビで観戦した。すでに今日までのトーナメントで2つの大学チームとクラブチームの代表は社会人チームに一蹴され、勝ち残ったのは昨年同様社会人強豪チームだけとなった。かつては、慶応と早稲田が社会人チームを破り日本チャンピォンになったことはあるが、今では社会人チームと大学チームの実力の差は歴然として、大学チームが社会人チームを降すことは望むべくもない。
その社会人チーム同士の準決勝で、4連覇を目指す三洋電機と拮抗した力の東芝戦は、三洋が後半に逆転して決勝戦へ勝ち進んだ。もうひとつの準決勝戦はこれまた熱戦の末、サントリーが神戸製鋼を振り切った。いずれも好ゲームで久しぶりにラグビーの面白味と楽しさを堪能することができた。
ところで、今日の試合で「テレビ・マッチ・オフィシャル」制度が実際に採用された場面を現実に観ることになった。トライかどうかの微妙なシーンを前者の試合で3度も観ることになった。このシステムは2年前から大きな大会やトーナメントで採用されるようになり、レフェリーが瞬時にプレーを判定しにくかったり、際どいプレーが死角のポジションにいて判定出来なかったケースに、タッチジャッジに尋ねることはあるが、それでも自信を持って判定出来ない場合に、ビデオ画面を観たうえでレフェリーがジャッジするものだ。
今日の3つのシーンでは、確かにそれなりに納得出来る判定とはなった。ただ、このシステムが万能とは言い切れない点と、ラグビー・スピリットから考えるとこの制度の採用には疑問も感じる。ひとつは、ゲームが盛り上がった時点でプレーをストップするもどかしい空白の時間である。もうひとつは、ラグビーはレフェリーに全権限を委ね、お互いの信頼の元にゲームが行われ、レフェリーのジャッジに対して一切アピールは出来ないとの紳士的了解の下に試合を行っているからである。
時代の変遷につれて、試合以外でもルールが変わり、ジャージーと云われるユニフォームも変わり、試合の展開に合わせて選手の交代を行う戦術にも多少の違和感を感じるが、これも時代と言ってしまえばそれまでだ。だが、昔の素朴なラグビーを知るものにとっては一抹の寂しさを感じるのも事実である。
近代スポーツとして衣替えして、テレビ放送向けに派手で目立つユニフォームに変わり、コマーシャリズムが入り込み、外国人選手も多くなり、選手たちの気持やパフォーマンスも人の目を意識するものに変わってきた。果たしてこれが良いことなのかどうかは分らないが、アマチュアイズムの権化のように言われたラグビーにも明らかにプロ化の風が吹き込み、時代の波に晒されていることは間違いない。