昭和11年の今日、2.26事件が勃発した。11日の建国記念日と同じように、今ではマス・メディアはほとんどこの歴史的事件を報道しない。珍しく朝日夕刊に死刑を執行された青年将校が刑務所看守に宛てた新たな遺書が発見された事実を記事にしていた程度である。2.26事件については、松本清張「昭和史の発掘」シリーズに詳しいが、今日の遺書はこれまで明らかにされていなかったものである。評論家の松本健一氏は「貴重で大切な資料だ。地方出身の看守にとって、将校は自分たちの貧苦や不平等を救おうとした者と映り、心を通じ合わせたのだろう。事件は昭和の日本人の胸に刺さり、今も抜けないトゲといえる」とコメントしている。だが、メディアを始め、学会や政治家たちはそのトゲを抜こうともしない。
ことの是非は別にして、ひたむきで純真だった青年将校たちの気持を今の政治家たちも少しは見習ってはどうか。
さて、心配していたリビア情勢がまた過激に動いた。首都トリポリへ向けて進んでいた反政府勢力に対して政府治安部隊と外国人傭兵が銃撃し、ある外国メディアによれば2千人以上の死者が出たという。カダフィ大佐は狂信的に反政府勢力に攻撃を仕掛け、トリポリ周辺では修羅場となっている。
在リビアのアメリカ人が1人残らず国を離れたことを確認して、アメリカ合衆国政府はリビアに対する制裁を発動した。同時に国連安保理事会でもリビア制裁について検討し、近日決議採択することになった。これによってカダフィは手足をもぎ取られるような窮状に陥り、少しは根を上げるだろうか。
それにしてもこういう緊急事態に際して、日本の存在感が薄いのは毎度のことだが、いつもわが物顔に登場して国際世論に反対を唱える中国が声ひとつ上げないのも不思議である。これには、大きな理由がある。中国はいま微妙な立場にあり、下手をすると現体制にとって命取りになりかねないのだ。チュニジア、エジプトに始まった中東の独裁国政権の崩壊により、中国共産党独裁政権下でもマグマが爆発する可能性があるからだ。中国各地では集会が禁止され、数人集まればすぐ身柄を拘束されてしまう。昨日は、北京市内で集会騒動があった場に偶々通りかかった駐中国アメリカ大使が、デモを煽っていたと報道されるほど、中国公安当局は集会や、中東情勢に神経を尖らせているらしい。
まだまだ当分の間目が離せない。