あれから2週間が過ぎた。ニュージーランド地震の被害者救出活動が思うように進まない中で、地元警察はこれまでの生存者救出作業から、収容遺体の身元確認作業へシフトすると発表し、事実上行方不明者捜索活動の打ち切りを宣言した。そんな厳しい状況の中で、今日日本の国際緊急援助隊第2陣が帰国した。記者会見で隊長は生存者を1人も発出来なかったことが残念だと述べた。
ニュージーランドと日本では生命に対する考え方の違いや、全般的に救出活動の手順と方法が異なるので、行方不明者の捜索を継続しないことに対して、内心では納得していない人も多いと思われるが、あくまで現地の基準で行われるので日本側から日本式手順を主張するわけにもいかず、その方針転換も已むを得ないのかも知れない。語学学校が使用していたCTVビルの崩壊現場だけが悲惨で生々しい。すでに、現地で救出活動を見守っていた家族も一部の人を残して帰国した。しかし、まだ行方不明者が27名もいる。家族にとってはやりきれない思いだろう。
ところで、日米間に新たな外交問題が噴出しそうな気配である。昨年12月にアメリカ国務省のケビン・メア日本部長が沖縄訪問を前にしたアメリカ人大学生相手の会合で、沖縄はゆすりの名人とか、沖縄人は怠け者とか、或いは日本では本音と建前に気をつけるべきだなどと人種差別的で沖縄を蔑視する発言をしたとして、日本政府が当惑するのも当然であるが、沖縄本土では強い反発が起きている。今日になって沖縄県議会でも強い不満が湧き上がり、クリントン国務長官に対してこの発言に抗議し、発言の撤回と謝罪を求める決議を全会一致で可決した。このメア日本部長は3年間に渡って沖縄総領事を務めた人物であり、沖縄の実情には精通しているはずである。明らかに確信犯であると言わざるを得ない。事態がこじれなければ良いが、取り扱いを間違えると話は大きくなって日米関係に亀裂を生じかねない。
下手にこじれると日米安保強化を警戒して、東アジア海域でヘリの自衛艦に対する異常接近など軍事陽動作戦を展開しつつある中国や、北方領土の実効支配を強めつつあるロシアがほくそ笑むだけである。願わくばメア部長が軽率な発言を取り消し、謝罪して矛を収めてほしいものである。