1402.2011年3月16日(水) 東電の対応も稚拙だが、官邸も危機管理が甘い。

 朝から晩まで周囲は怒涛のような地震関連ニュースの大洪水である。地震自体がもたらした後始末の処理や整理が思うように進まない中で、地震によって触発された原発の放射線漏れの報道が後から後へと新しいニュースとして伝えられる。福島第1原発の6つの原子炉では次々に不安を駆り立てるような緊急事態が発生する。その都度官房長官、原子力安全・保安院と東電が記者会見で対応し説明する。

 昨日本欄に書きこんだように官邸は、東電の対応がもどかしいらしく、不安と不信感を憶え、昨日は菅首相自ら東電本社へ乗り込み直接清水正孝社長以下居並ぶ役員を叱責し、「撤退などありえない。撤退したときは東電が100%つぶれる」と不遜にもわめき散らした。

 ついには東電本社内に法的根拠のない統合連絡本部を設置して、自らが本部長に、副本部長に海江田万里・経産相と清水社長を任命し、海江田大臣を常駐させるなど些か常軌を逸するような非常識な行動に及んだ。この民間会社の現場への強引な指導は、原子力発電は国家事業とは言え、明らかに民間会社に対する政府の強引な介入であり、極めて異常な行動である。日ごろ国会対策で悩みが尽きないとは言え、菅首相の傲慢な性格が破裂したように思える。敢えて前後の見境もないイラカン(いらいらした菅)所業と言っておきたい。

 昨日になってフランス原子力委員長は、今回の東日本巨大地震に伴う福島第1原発放射線漏洩について危機レベル「6」と判定した。これは「大事故」に匹敵するレベルらしいから、日本国内で虚虚実実の駆け引きをしながら、東電がレベル「4」と低めに判定しようと検討していたのとはわけが違う。因みにチェルノブイリ事故が最高レベルの「7」で、スリーマイル島事故が「5」だそうだから、ちょうどその中間に位置づけられるほどの高い危険度である。

 アメリカのメディアでも地震と津波のニュースに関心を寄せながら、一際強い関心を抱かせたのは放射線漏れに関する情報である。

 従来原子力事故というと決まって引き合いに出されるのが、ロシアの「チェルノブイリ」であり、アメリカの「スリーマイル島」だったが、今後はこれらに「フクシマ」が加えられることになるだろう。日本は原爆被爆国として「ヒロシマ」「ナガサキ」が、今日国際的な平和運動のシンボルとなっているが、放射線漏洩の好ましからざる都市として、今後は「フクシマ」が不名誉にも国際的な知名度を高めることになるだろう。

 それでも現在進行中の放射線漏れが収まり、すべての作業を無事終えた時、「フクシマ」が地震列島・日本の危機意識の象徴として、原発建設の安全のためのキーワードになれば少しは気持ちが救われる。

2011年3月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com