原発からの放射性物質漏れを躍起になって封じ込めようとしているが、後から後から「想定外」のトラブルが起き、その都度対応にてんてこ舞いである。連日一向に光が見えない解決への道しるべに周辺住民はもちろん国民も相当いらだっている。
今朝の朝日新聞の図解解説によれば、相変わらず原子炉冷却は進まず、福島第一原発の6つの原子炉のうち、取りあえず安全というのは4号機から6号機だが、それらはいずれも定期検査で現在停止中とある。作業に当たっている1号機から3号機に至っては、原子炉内の燃料棒が損傷の疑いがあったり、2号機のように溶融していたり、圧力容器はすべて温度が高めで現在真水を注入中である。更に1~3号機はタービン建屋内に溜った水の排水に向けた作業の準備中(まだ作業をしていない)である。相変わらずこんな調子で、まったく気持ちが暗くなる情報ばかりで憂鬱である。
農産物の出荷制限などで農家に大きな打撃を与えているが、打撃は漁業にも相当な被害をもたらしている。今日北茨城沖で獲れたコウナゴにヨウ素が検出された。止むを得ず茨城漁協はコウナゴ漁業の中止を決めた。更に原発は汚染水を1.1万トンも海へ放出した。海が汚れる中で検査上問題ないとされ出漁して獲った漁獲を神栖市の漁船が銚子漁港で引き取ってもらえなかった。放射能問題は農家に対して厳しいが、漁民にも相当過酷な現実を強いている。
退避を要請された自治体の中には、役場ごと機能を他県、或いは他の市町村へ一時的に避難させたところもある。新学期に入り子どもたちの通学難解消のため、避難先の学校へ子どもを転校させたり、入学させたりしたケースもある。不便はある程度仕方がないが、移動したとて生活手段を失っては生活基盤の建て直しはおろか、この先食べていけない。東電が、迷惑をかけた自治体に取りあえず自治体単位で一律2千万円の補償金を申し出たところ、退避住民数が異なるのに一律とは容認出来ないと拒絶した町もある。政府は賠償額が確定する前に、当座の資金として東電に対し被災民に仮払金を支払うことをサジェストしている。
こういう晴れない気持ちが燻る中で、助け合いの気持ちが団結した「オールジャパン」的な空気が盛り上がるのは良いが、それに伴いマイナスの空気も現実に醸成されつつある。「週間ポスト」4月1日号誌上には、あるジャーナリストが「『自粛』と『不謹慎』反対運動を立ち上げる」ことを言い出したと紹介されたそうだ。この非常時に派手な音楽公演や電気を大量に消費するパフォーマンスに対して不謹慎、或いは非国民として圧力をかけるような空気を作り出すことを止めさせようというのだ。作家の高橋源一郎氏は若者に同調圧力に押しつぶされないよう助言している。連帯は正しいが、社会の全員が同じ感情を共有しているわけではないと言う。このように陰湿な空気が行き過ぎると戦時下の翼賛体制と変わらない空気が生まれてくる。
警察庁のまとめでは、今日までに死者は1万2千人以上を数え、安否不明者は1万7千人を超えた。史上最悪の犠牲者数を更新しつつある。