昨日福島第1原発で放射能汚染水を海に流したことが、国内的合意を得ていないと福島県を始め、広い地域から政府、並びに東電に対して非難の声が上がっている。海外からも厳しい指摘がある。その急先鋒は韓国政府で事故発生以来空気中の放射能が増えたと国を挙げて懸念していたところに、事前に何の通報もなく汚染水が海へ放水されたことに些か神経質になっている。それはそうだと思う。政府と東電の話し合いだけで国民にとってこんなに大事な問題をこっそりやってしまおうというのだから、神経がどこかおかしい。
韓国ばかりでなく、日本に近いロシアからも「最初から日本の協力姿勢には満足していない」と批判的なコメントが発せられている。地勢的に太平洋に面しているので、日本海側に位置するロシア、韓国、中国には影響がないと思ったのか、原子力専門家が傍についていながら誰1人周辺国に気を遣う人間がいなかったということは、あまりに自己本位で非常識であり、組織のガバナンスが欠けているとしか思えない。況してや今は海外各国から支援を受けている最中である。今朝のNHK「あさイチ」によれば、いま最も外国から支援、援助額が多い国は、①スーダン、②日本、③アフガニスタン、④ハイチ、⑤チャドと発展途上国が居並ぶ中に先進国日本がランクアップされてしまった。わが国の場合は一時的だと思うが、それだからこそ外国からの好意の支援に助けられている立場を考えるともう少し外国へ気遣いがほしい。
一番情けないのは日本外交の最高責任者である松本剛明・外務大臣の「国際法上の義務との関係で直ちに問題となるものではない」だの、「現段階では国境を越えて影響を与えるものではない」だの、外交に携わる人間にとってあるまじき無神経な発言である。このミスキャスト大臣では話にならない。国際関係に最も配慮しなければならない外務省の最高責任者として不適格ではないか。この大臣は先月ロシア空軍機が日本領空に侵入した際、自衛隊機がスクランブル発進した重大事象に対しても、大震災に支援してくれる国には抗議しないと公式発表するボケぶりである。このボケ政治感覚は何とかならないか。
いずれにせよ、この日本の深刻な危機に際して大臣の人物評価をしていても始まらないが、道筋が見えた時点でこのボンクラ大臣を早急に更迭しなければ、わが国も道を踏み外す恐れがある。
国家をきちんと統治すべき政治家たちがこのように醜態ぶりをさらけ出すようでは、何とも先が思いやられる。