今朝起きてすぐにテレビのスイッチを入れた。昨晩の宮城沖地震の被害状況が気にかかっていたからだ。案の定マグニチュードはM7.4で、震度は6強とかなり強い揺れがあったことが分る。実際400万戸が停電になり死者も4人に、負傷者は140人も出た。余震というよりこれは本震である。気象庁の予報では今後もM6程度の地震が起きる可能性は高いという。昨晩の地震の結果、女川原発と青森県の東通原発では一部の設備に支障が生じ、一時使用不能になったという。
こんなことを考えていると現在日本各地にある他の原発の安全性は本当に大丈夫なのだろうかと心配になる。これでまた住民の不安を煽る原発関連報道が広がる恐れが出てきた。
過去10年間の統計では、M5以上の地震は平均して1年に約120回発生しているそうだが、3月11日の大震災発生以来昨日までの地震発生回数はすでに396回となり、これは異常なまでに多い。海外メディアでも日本の原子力事故に関する報道が増えている中で、誤報も相次ぎ、福島第1原発事故によって作業員が5人も亡くなったとの間違った情報が広まり、外務省を通して現地における誤報の火消しに躍起になっている。
現状は何とかして福島原発のトラブルを収束させてほしい。その後において今後わが国としては原子力問題をどう考え、全エネルギー問題にどう対処していくのかを考えなければならない。これまでは原子力問題について国民的議論がなされることはなかったと思う。原子力問題に関して国民は完全に蚊帳の外にあった。政府と自治体、そして電力会社、原子力学者だけの専門家によってすべてが決定されていた。これが国民の間に情報不足をもたらした。
恒常的に資源エネルギー不足問題を抱えるわが国としては、何とかして原子力にエネルギー源を求めようとしている。すでにわが国の電力供給の3割が原子力発電によって賄われている。この現状を考えると簡単に原子力を放棄することは出来ないと思う。
実際「選択」4月号の巻頭インタビューで、日本エネルギー学会会長を務める柏木孝夫・東京工大教授は「危険な原子力は全廃せよと唱えることは容易だが、現実的か。積極推進か、全廃かという二者択一の議論に解答はない」とコメントしている。柏木教授によれば、ウラン1gに対して石炭は3tに匹敵するほどのエネルギーということは、原子力は3百万倍の高発熱量を誇るわけで、世界が原子力を手放すとは考えられないという。石化燃料はいずれ資源枯渇にぶち当たる。最も効率的な原子力発電を、危険だからという理由だけで今すぐ手放すわけにはいかないだろう。原子力をどう安全に確保するかということが、これからの議論の最大課題となるだろう。
それにしても現在のもやもやした福島原発の対応が早く解決してくれなければ、一歩も先へ進めない。今日は偶々お釈迦さまの誕生日であるが、お釈迦さまが良い知恵を与えてくれないだろうか。