また大きく揺れた。午後5時16分、福島県浜通りを震源地とするM7の余震があった。引き続き断続的に宮城から福島、茨城を震源地とする余震が起きた。
今日4月11日は東日本大震災からちょうど1ヶ月になる。地震が襲った午後2時46分には各被災地でしめやかに黙祷が捧げられた。日本の歴史上最悪の災害となった今回の大震災では、あまりにも大きな自然災害に加えて、未だに収束の見込みすら立たない放射性物質漏洩の深刻な危機感が漂い、国民の間に言い知れぬ不安と恐怖が残っている。昨日死者の数は1万3千人を越えた。行方不明者は1万4千人を凌駕して、なお増え続けている。避難する住民の数は実に15万人を超える。
未曾有の災害に直面して復旧活動に当たるべき自治体の中にも、町長以下大半の役場職員が亡くなった町もある。こういう悲惨な状況の中で、海外からの支援、ボランティアの活動が被災者にとっては心強い。地震発生以来の社会活動への奉仕の状況を見ていると、ある程度世相も透けて見えてくる。あくまで個人の意思によるものであるとはいえ、積極的に個人の私有財産を義捐金として申し出る財界人やスポーツ選手が多くなったことは明るいニュースであり、頼もしい限りである。
その中でもユニクロ創業者の柳井正氏、楽天の三木谷浩史氏の各10億円に続いて、ソフトバンク・孫正義社長の100億円+今後の役員報酬全額のような寄付はこれまでにはない桁外れのものである。ゴルフの石川遼選手のような若い選手が2億円+今年獲得した賞金全額といい、イチロー選手も1億円、松井秀樹選手が5千万円と気前がいい。
それに引き比べて政治家からは思い切った義捐金を提供する人が見られない。案の定新聞への投書でも政治家が義捐金について、ほとんどコメントしないことに不信感を訴えている。あれだけ資産家の母親から違法に多額の資金提供を受けていた鳩山由起夫・前首相なんかまったく庶民感覚がなく、被災者に対する慈悲の言葉すら聞かれない。そのうえ、国を挙げて復旧に取り組まなければならないこの重要な時期に、首相の座を譲った菅首相の手法を批判している。リーダーシップを発揮出来ない菅首相も菅首相なら、その菅に後事を託した前首相の鳩山も鳩山である。情けないことにこんな修羅場においてまだ姑息で料簡の狭いいじめっ子役を演じている。国のトップにある人たちがこんな調子では、一体いつになったら目前の放射性物質漏洩問題を収束させることが出来るのだろうか。
さて、昨日行われた統一地方選も東日本大震災の影響で、熱気がなく盛り上がらないままに終始した。総体的には民主党の敗北に終り、部分的には橋下徹・大阪府知事が結成した「大阪維新の会」と「みんなの党」が勝ったと言える。
ちょっと気になったのは、12の都道県の知事選で勝利した知事の経歴である。12人の知事のうち作家出身の石原都知事とテレビキャスター出身の黒岩祐治・神奈川県知事を除く10人の知事はすべて元官僚である。首長というのは、地域のリーダーとしてその土地と住民の特性を良く知り、地勢的特徴を活かしながら政治力を発揮して豊かな地域社会を作り上げていかなければならないと思う。それが前例に倣って敷かれたレールの上を言われた通り歩んできた元官僚らに、地域の信頼出来るリーダーとして充分に腕を揮うことが出来るだろうか。
官僚の政治力とリーダーシップというものについては、どうにも信頼感が持てず気になって仕方がないが、地域住民が選択した以上彼らのために必死になって仕事に取り組み、成果を上げてもらうことを期待するより仕方があるまい。