1430.2011年4月13日(水) 「燃料が臨界に達し、メルトダウンし爆発すればお手上げ」

 東京都台東区教育委員会が主催する今年度第1期・生涯学習‘ラーニングスクェア’講師の説明会が台東区の社会教育センターで開かれた。この企画で講師を務めるのは初めてである。私が担当する講座は「世界の都市を知る」6回シリーズで、4人の講師が担当し、私はそのうち3回を担当する。主催者側もかなり力を入れていて講師も約30名が出席した。いろいろ主旨や講習の進め方についての説明があったが、興味を惹かれたのは著作権に関する専門家(社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会調査部太田輝仁氏)の説明だった。パワーポイントのスライドにWEBから著作権物を安易に利用することに注意を喚起したものだ。私も時折写真を引用するので、以後充分注意したい。

 さて、昨日の本欄の放射線物質の漏洩を懸念し、それを封じ込められないもどかしさについて、なぜ原点に戻れないのかと疑問を投げかけた。これに対して早速中央大学理工学部教授だった、高校ラグビー部の後輩である矢田健一さんから、メールで丁重だが愕然とさせるような実態の情報と解説をいただいた。矢田さんの言葉を借りれば、科学技術的にも理論的にも、元に戻せなくなる可能性が大きいのが「原子力利用」で、燃料が臨界に達して溶融(melt down)し、暴走・爆発すればお手上げだそうである。原子力は大きいエネルギーを与えてくれる反面、大きなリスクも伴う「両刃の刃」と説明されるのである。原子力がプラス効果とマイナス効果を背中合わせに抱える矛盾は理解していたが、それにしてもある程度の犠牲を払わなければならない可能性があることを前提にしていたにせよ、確実に根っ子は封じ込めると信じていただけに大きなショックである。いかに便利で必要なものであっても人類が営々と築き上げた社会を崩壊させてしまい、それを発明し高度に発展させた人間が人智を尽くしてもストップすることが出来ないとは、開発するための意義と理念すら失わせてしまうようで、科学の進歩というのは一体何だろうと考えるとあまりにも切ない。人間は一度得た果実はそう簡単には手放さないものであり、これからエネルギー政策は充分検討されるだろうが、原子力を放棄するようになるかどうかは予断を許さない。

 これらの点を理解したうえで広い分野から原子力専門家や多数の有識者の英知を結集し、その他に原子力に関する専門知識を持たない人びとも参加して、あらゆる代替エネルギーの優位性やメリット、特徴、資金、投資効果、公害問題、住民感情、放射線物質漏洩などの事故による影響などを徹底的に精査、分析、検証、議論して、原子力がこれからの日本にとって絶対的に必要なものかどうか、多くの人が納得出来る結論を導き出してもらいたいものである。

2011年4月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com