とかく派手なパフォーマンスが目立つ橋下知事の突拍子もない発言にまた驚かされる。10日の統一地方選・大阪府会議員選では自らが代表を務める地域政党「大阪維新の会」が府議会の過半数を占めた。同時選挙の大阪市議会議員選でも善戦した。それでも知事自身大阪市と堺市で過半数が取れなかったことを根拠に勝利とは認めようとしなかった。
昨日になって知事は「大阪市長選に合わせて知事を辞職し、市長選と知事選のダブル選という政治日程をつくる」と明言した。橋下知事が目論む「大阪都構想」が、必ずしも大阪府民から支持されているわけではない。しかし、知事は自らの理念と政治学を視野に入れてひたすら前進しようとしている。平松邦夫・大阪市長との関係も思わしくなく、大阪市民の支持も必ずしも期待通りではない。そこで何とか役人の力が強い難攻不落の大阪市庁舎内へ市長として入って、内部から改革しようと考えているようだ。
まだ言葉を濁しているが、知事は商都大阪市を制覇しなければ全大阪人から支持されているとは考えていないようで、今後どういう手段で「大阪都構想」の実現へ向けてロードマップを描こうとするのか知りたいものだ。2つの首長を兼務は出来ないので、市長になるなら知事職を辞することになる。前例のない選挙となるだろう。
今日も何度か余震があった。震源地が福島県内のケースが多くなった。こうなると原発が一層心配になる。福島第1原発の2号機と3号機を製作した東芝は、もしいずれを廃炉するにせよ、廃炉になるまでには10年はかかるだろうと気の遠くなるようなことを述べている。
こういう深刻な状況下に菅首相は否定していたが、原発の周囲では20年も30年も人が住めなくなるなどと無神経なことを漏らした。実際は内閣官房参与が曲解して外部に漏らしたということになったが、どうも官邸内も意思の疎通がバラバラのようだ。そこへ先日鳩山前首相が菅首相のやり方にクレイムをつけたが、更に小沢一郎氏が不穏で無責任な言葉を口走った。「地震、津波による被災者への対応は遅々として進んでいない。原発事故の初動対応の遅れを始め、菅首相自身のリーダーシップの見えないままの無責任な内閣の対応は、今後更なる災禍を招きかねない」とまるで他人事なのである。
加えて今日西岡武夫・参議院議長が首相の対応に不満を示し、対応が遅すぎるとしてリーダーシップの欠如を露骨に批判した。この西岡氏だって若かりしころは、小学生のように母親が国会へやってきてその母親が河野洋平氏に泣き言を言っていたくらいだから、偉そうなことを言う資格があるのかどうか。それにしても一致団結しなければならない時に党の大物?がこのていたらくでは最早先生方には何も期待出来ない。西岡氏は議長職にあるため民主党を離党して無所属になっているが民主党員だった。これが同じ党内で同志を支えるべき実力者が国家の緊急時に漏らす言葉であろうか。これに悪乗りした野党自民党の谷垣総裁は、今日菅首相に辞職するよう提言した。どっちもどっちである。
はっきり言ってみんな国のリーダーたる自覚も責任感もない。国民は呆れるばかりである。今度の災害が人災と云われるのは、原爆事故の関係者による人災というより、彼らが精一杯復旧に取り組んでも他人事のように私利私欲を追い求めている政治家による人災ではないかという気がしてくる。
そんな事故解決の鈍さに嫌気がさしたか、外国人が日本からどんどん遠のいている。3月の訪日外国人の数は対前年比50%の落ち込みで、1964年以来最大の減少幅である。今日漸く「復興構想会議」が発足したが、復興への道のりは遠い。