1435.2011年4月18日(日) 原発事故収束に6~9ヶ月

 連日東日本大震災の話題ばかりで恐縮だが、ご容赦いただきたいと思う。東京電力は政府のサジェスチョンを受け地域住民や全国の人々からの不安に応えて、今後の事故収束へのあらましの工程表を示した。同時に原子炉を安全な状態で停止するのに6~9ヶ月かかるとの見通しも明らかにした。これに基づき、避難中の住民が帰宅出来る日は、6~9ヶ月後になると見られている。原発関係者にとってはこれからも苦難の道のりが続くことになるが、降って湧いたような災難に襲われた避難住民にとっては、それ以上に厳しい茨の道である。因みに長期避難民と想定される住民は9万人を数えると言われている。

 付け加えれば、東電のこの計画はあくまで希望的「計画」であり、すべての作業が予定通り進むことを前提にしたスケジュールである。まだ難しい作業が山積しており、勝俣恒久会長自ら「計画は100%出来るというものではない」と厳しい語り口で語っている。シナリオ通りに行くかどうかはまったく予断を許さないのだ。

 大震災によって観光業は大きな打撃を受け、ホテル・旅館業、そして各地の観光施設は軒並み利用者のキャンセルに泣いている。仮にも新しい経済成長戦略の柱と位置づけられ、観光庁も力を入れていた観光産業である。その中でも大きな期待をかけられていた外国人観光客が大幅に落ち込んで、当分外国人観光客の訪日復活は期待薄である。私自身昨年11月に共著として上梓した「そこが知りたい 観光・都市・環境」(交通新聞社刊)の中で、今後の外国人観光客の増加に触れたし、更に伸び行く観光のジャンルのひとつとして「医療ツーリズム」についても一項目書いたが、その医療ツーリズムもまともに影響を受け、日本で医学治療を受ける外国人の数がめっきり落ち込んだ。

 日本人の国内旅行、海外旅行もともに大きく取り扱いが減じている。各旅行会社も3月以降の成績は前年に比べて大幅なマイナスである。

 原発の必要性について、16、17日両日に朝日と日経が世論調査を行ったが、今後エネルギー源として原発を減らすべきか、或いは廃止すべきかという問いに対しては賛成が41%である。今回の事故により4年前の調査より確かに13%増えた。しかし、その一方でこれだけ大きな被害を出しながら一気に原発廃止の声が盛り上がらない理由のひとつとして、現在のわが国の電力の内約3割が原子力に頼っている背景があるからだが、もうひとつの理由として、原発所在地では今や原発が経済、雇用の面でその土地とは切り離せない抜き差しならない関係となっており、止めたくても止められない事情があるからのようだ。

 いずれにせよ、今後原発設置の必要性について今回の事故を検証したうえで国民的議論が起きるだろうし、ぜひそれらを踏まえて、わが国のエネルギー政策としてあるべきビジョンをしっかり考えてほしいものである。

2011年4月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com