1437.2011年4月20日(水) エネルギー政策に専門家以外の国民の関与を

 相変わらず大小の余震が続く。少しずつではあるが、明るいトピックも聞かれるようになった反面、まだ暗い話も数多く耳に入ってくる。他方で政治が決めることは一向に前へ進まず、日本の政治にはまったく期待が持てない。
 先の見通しが立たない中でまだ真剣な議論が起こっているわけではないが、落ち着いたら最初に採り上げられなければならない最重要課題のひとつは、将来わが国が原子力発電を電力供給の柱としてこのまま開発、発展させていくべきか否かということであろう。
 現在までにわが国が稼動した原発は54基ある。今後新たに建設が予定されている14基を加えるとわが国は原子力立国の道を歩んでいくのではないかとの心配もある。しかし、原子力発電が全電力供給量の約3割を占め、いくらこれまで恩恵を蒙ってきて、今後も供給を受けられるとは言え、今回の放射性物質漏洩による悲惨な実情を考えると、現状のエネルギー政策をこのまますんなり推し進めるというわけにはいかないだろう。
 13日朝日新聞文化欄に「原子力からシフトを」というコラムが載っていた。飯田哲也・環境エネルギー政策研究所長が提案した論稿である。以前から代替エネルギーを研究している飯田氏がエネルギーを原子力に頼っていてよいかとの一般的な問題意識の高まりに合わせて公表したものである。
 論文が主唱する「戦略エネルギーシフト」の主旨は、原子力に電力の約3割を依存する体制から自然エネルギーなどへ比重を移し、エネルギー全体のバランスを漸進的に変えていこうというものである。具体的には、現在10%程度の水力、太陽光、風力、バイオマス、地熱発電などの自然エネルギーの割合を2020年までに30%、50年には100%に上げることを目標にしている。
 それと歩調を合わせるかのように、今朝の朝日社説でも「原発をどうするか」と問いかけている。その内容はドイツの原子力政策転換の決断に力を得て、はっきりと「脱原子力依存」を訴えている。取りあえず現在のエネルギー基本計画によれば、2030年までに原発14基の新増設が計画されているが、この計画の事実は不条理にも国民がまったく与り知らない秘密事項なのである。
 朝日新聞は提言している。今回の事態に有効な手が打てなかった原子力安全委員会、原子力安全・保安院といった組織のあり方も抜本的に見直し、自然エネルギーの推進者や原発に懐疑的な識者も交えた、開かれた場で議論を深めてほしいと提言している。まったくその通りだと思う。こんな大事な国の政策に、一般国民がまったく関与出来ないということ自体不自然であると言わざるを得ない。
 暗いニュース。今日で東日本大震災の死者は1万4千人を超えた。

2011年4月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com