世界を見ると今アラブとアフリカでは大きな政治混乱と社会変革のうねりが起きている。北アフリカのチュニジア、エジプトに続く独裁政権転覆への勢いはリビアに波及して、リビア国内ではカダフィ体制派と反体制派による激しい内戦状態が続いている。それがアラブ諸国へ飛び火して、イェメンとシリアではデモ抑圧のための発砲事件も多発し、数多くの犠牲者を出している。今夜のニュースによれば、イェメンの長期独裁政権・サレハ大統領が、ついにペルシャ湾岸6ヶ国で構成する湾岸協力会議の勧告を受け入れたという。その内容とは1ヶ月以内にサレハ氏が大統領職を辞職するとの約束である。しかし、権力者の地位に固執している大統領が果たしてすんなり約束を履行するかどうか予断を許さない。
西アフリカのナイジェリアとコート・ジボアールでは、新旧大統領の対立からともに国民を巻き込んだ無政府状態に陥っている。途上国ではいつも犠牲になるのは、底辺にいる生活の苦しい庶民である。
一方、国内では放射性物質漏洩問題が一向に収束する気配が見られない。対策本部が立ち上げられたが、雨後の筍の如く20近い復興関連の本部が出来て指揮系統が一本化されず、元々問題とされていた政府、原子力安全委員会、原子力安全・保安院、東電ら4つの組織がそれぞれの立場で情報を公開するので、その流した情報をどの組織がどう活用し、整理して国民に伝えるのかというルートと責任の所在がはっきりしない。
話が飛躍するが、今朝の「天声人語」に政治家の党利党略、私利私欲について批判的なコメントが書かれていた。今年度最初の政党助成金が支払われたという。併せて80億円である。当初から共産党だけは主旨に反対して辞退しているので、その他の全政党を併せた合計金額がこの巨額に上る。年間に換算すると何と4倍の320億円になる。
「天声人語」氏はこう書いている。「被災者に尽くすべき者が炊き出しに並んでいるような違和感を覚えた」「国会議員は歳費カットでお茶を濁さず、定数を削るべし」「今回だけでも遠慮するデリカシーを永田町に望むのは、どうやら自販機にスマイルを期待するがごとし。民に耐乏を訴えながら示しがつかない」などと相当厳しい。それも当然だろう。はっきり言ってどの面さげて、この厳しい財政状態の中で自分たちだけ国庫から金を融通してもらおうというのだろうか。
政党助成金の申請が出されたのは、偶々著名人が義捐金として私財を提供した総額が1000億円を突破した時だから余計皮肉っぽく受け取られる。政治家にはその時、義捐金を提供しようとの考えなんかまるで眼中になく、ひたすら脇目も振らずに国民の税金である国庫から少しでも資金をいただこうとのさもしい気持ちに駆られていたのである。本稿でも政治家も少しは被災地の人々に対して、税金からいただくサラリーを辞退し、義捐金へ回すような行動を起こしてみてはどうかと何度も訴えたが、現在までにただひとりとして賛同する国会議員はいないようだ。こういう利己的で自己中心的な人々に政治を担わせることが、国民にとってはどれだけ不幸なことだろうか。
今日は統一地方選の後半戦で、自治体としては山梨県、佐賀県に次ぐ84万人の人口を抱える世田谷区長選挙と区会議員選挙が行われた。投票した候補者の当確は、夜11時現在各候補が競り合っていて結果はまだ分らない。一方、わが国唯一の財政再生団体の北海道・夕張市長選挙では、夕張市へ派遣されていた30歳の東京都職員が全国最年少市長に選ばれた。他にも意外性と話題性のある首長が生まれる可能性がある。