日本で開催予定だった世界フィギュアスケート選手権は東日本大震災の影響を考慮して日本が開催を返上し、代替会場としてモスクワで開催された。昨日華の女子フィギュア・シングルで安藤美姫選手が4年ぶりの優勝を果たした。優勝は浅田麻央選手か、韓国のキム・ヨナ選手だと予想していたが、浅田が6位という期待外れの中で、今年は調子の良い安藤がキム・ヨナを抑えて世界チャンピオンになった。男子シングルでは一足お先に小塚崇彦選手が銀メダルを獲得し、初めて表彰台に立った。暗いニュースの多い中で日本人選手が活躍してくれるのは頼もしく嬉しいものだ。
さて、昨日の市民講座で原淳二郎氏が懸念していたように原発推進派と反対派の対立が静かに潜行しているようだ。今回の福島原発事故で推進派は沈黙を守り、反対派は勢いづき考え方の対立の収束は長引くだろうと言われ、また柴田鉄治氏は国民投票の実施を希望されておられたが、すでに原発建設を予定している地域では住民投票がスケジュール化されている。
鹿児島県串間市では今月10日に予定していた賛否を問う住民投票を急遽無期限延期した。建設反対派では、意外にも今度の事故をそれ見たことかと攻勢を強めようとは考えていないようだ。推進派の弱みにつけこむような運動の進め方では反って反発を買うと考えているのではないか。
山口県上関町では2018年の運転開始を目指す中国電力の原発建設をめぐり、推進派・反対派のせめぎあいは30年間も続いているという。同じ地域に住む住民同士が、不幸にして敵・味方に別れて対立し、結局地域を二分してしまう。深刻な対立が長く続けば、両者の溝は深まるばかりで、結局どちらに決まっても住民同士の感情的な対立は残ったままで地域全体の一体感にキズをつけ、お互いの心を蝕む。今や原発問題を地域に持ち込むことが、経済面では地域を支援することになるにせよ、地域にとって厄介なトラブルとなる可能性を孕んでいる。原発とは別の観点から問題は複雑化し面倒なことになる。それだけに建設、反対どちらに決まるにしてもきめ細かい住民対策が欠かせないということを最近の原発建設は教えてくれる。
福島原発事故が世界のエネルギー政策に大きな議論を呼び起こしたが、同時に世界中の原発建設地、並びに建設予定地にも大きなショックを与えている。ドイツでは建設計画が延期されたし、カナダでも都市の原発建設について反対の声が盛り上がってきた。まったく知らなかったが、カナダでは既存の原発の他に5大湖のひとつ、オンタリオ湖畔に新たに4基の原発を建設する計画があるという。それが今では建設すべきか、中止すべきかで激論となっている。これも明らかに福島原発事故がもたらした影響である。