世界の人口が今年10月末には70億人に達すると国連が公表した。2100年には100億人を超えると予想されている。先進諸国では人口減少が懸念される中で、アフリカ南部、アジア、南米等の途上国、そして意外にもアメリカが増加するという。アメリカが増加傾向にあるのは、移民の受け入れとヒスパニック系の出生率の高さがある。世界で最も人口が増えると予想されているのはインドで、60年ごろには17億人となり中国を追い抜くと見られている。
それにしても経済活動を支える最大の推進力は労働力、つまりマンパワーであり、人口増加こそが成長の大きなカギである。その意味でもこの人口増加を上手に活かせれば、途上国が先進国になる得る大きなチャンスがある。その点で日本人の人口が毎年漸減傾向を辿り、全人口の中で65歳以上の老齢人口の割合が一層高まって労働人口の比率が、途上国に比べて更に大きく開くのは猶予ならぬことである。
2100年には9133万人になるものの、平均寿命は男が89歳で、女が95.7歳だそうである。これはどういうことだろうか。こんな社会はちょっと想像しにくい。
まだ決定したわけではないが、今年6月にパリで開かれるユネスコの世界遺産委員会で日本から世界遺産へ登録申請している文化遺産候補の「平泉」と、自然遺産候補の「小笠原諸島」が認められるようである。内定というところだろうか。平泉は3年前にも申請したが、登録はならなかった。今度こそは大丈夫だと何やら自信ありげで、世界遺産に登録されれば被災地の復興にも弾みがつくと、何でもかんでも良い方へ持っていこうとしている様子に思わず苦笑する。
だが、世界遺産の評価や基準がどうも公平でないような気がする。例えば、韓国の世界遺産はこう言っては悪いが、諸外国の世界遺産に比べてそれほど価値の高い遺産には思えない。特に、評価が厳しくなった昨年認定された「安東河回村」は、訪ねてみて世界遺産に匹敵するほどの価値があるのか疑問に感じたくらいである。一方で、他の国にも登録された世界遺産を上回る価値のある未登録の世界遺産はいくらでもある。どうしても判定する人の主観が入るから公平にというわけには中々いかないものなのだろう。
小笠原は訪れたことがないので、何とも言えないが、大陸と陸続きになったことがないので独自に進化した貝や植物が多い点が評価されているようだ。
まあ政治的に決められることでないのはいい。それなりに訪れたり、見るだけで心が豊かになる文化財や自然は大いに敬って大切に保存し、後世に残していきたいものである。
さて、今日の朝日夕刊の記事を見て少なからずショックを受けた。「被災の九段会館、閉館へ」とある。東日本大震災で九段会館は天井の崩落により東京都内で唯一の死者を出して、事故以来休業していた。今後永久に営業を止めることを決定した。
九段会館と言えば、数え上げればきりがないほど思い出は尽きない。戦没者遺骨収集団の各種の式典や、戦友会の会合で何度もお世話になった。日本遺族会が会館建物を管理し、遺族会事務局も会館内にあり、スタッフ百数十人も遺族会から派遣されている。そんなご縁でゼミの同窓会は、私が幹事を務めて以来毎年決まって九段会館を利用するようになりそのまま現在まで続いている。昨年も10月に行ったばかりである。建物が老朽化してこれ以上使用に堪えられないと判断し、再建については国の資産とか、日本遺族会の営業活動という観点から苦渋の決断をされたようだ。先月理事会評議員会が閉館を決定し、建物は国へ返還する。
また、思い出の詰まった記念的建物が姿を消す。寂しいことである。