1455.2011年5月8日(日) 専門家の見る悲観的な原発開発

  最近メールでやりとりの多い矢田健一・元中大教授が放射性物質漏れの危険に関して、いささか知識の乏しい私にいろいろ専門的情報を提供してくれる。今日も原子力の専門家である京都大学原子炉実験所・小出裕章氏に対する原発関連のインタビュー映像を紹介してくれ、小出氏がフリージャーナリストの岩上安身氏の質問に応える形の映像を‘You Tube’上で1時間20分に亘って観ることが出来た。
 内容的には相変わらず難しいものだが、それでも小出氏は分り易く丁寧に解説してくれていた。小出氏の主張しているのは、突き詰めると危険な原発はもう止めるべきだということに尽きる。いくら万全を期しても機械である以上事故は必ず起きるとして、その機械を取り扱っているのは人間であり、その人間には間違いは起き得ると力説していた。大きな原発事故による破局を避けるためにも原発は直ちに止めるべきだと言われていた。氏が東電は情報をきちんと開示すべきであると強調されていた。原発推進派が言うように、代替エネルギー問題で現状から原発を失くせば電力供給量が不足するという情報は、必ずしも正しくないことを別の資料で示しながら解説してくれた。わが国の電力供給量のうち、原子力発電に約3割も依存しているというのも、東電や原発推進派から出てくる彼らにとって都合の良い情報のようである。揚水発電というこれまで知らなかった発電の無駄、しかもこれは原発供給の隙間を埋めるための電力供給のようである。原発を失くせば当然揚水発電なんてものも要らなくなる。
 これまで日本のエネルギー政策、とりわけ電力問題は役人と電力会社の結託によって馴れ合いの中で行われてきたと批判的だった。従って原発開発も両者の思惑通り計画されてきた。その証拠に国策会社である電力会社は寡占状態であり、価格も需給のバランスによって決定されるものではない。それがわが国の電力料金が世界中で一番高い所以であり、裏づけとして外国との電力料金比較表を示しながら説明された。
 余談かも知れないが、電力を最も消費する産業はアルミ産業で、アルミ産業はその高い電気料金のために需要が増える一方であるにも拘わらず、経営的に立ち行かず、今や国内では日本軽金属㈱一社しか、それも日軽金蒲原工場の自家発電によってしかアルミ製造を行えない厳しい状態であるとも言われた。プライベートな話で恐縮であるが、偶々妻の父親は日軽金会長、相談役を最後に同社を退いたが、アルミを生産していた蒲原工場長を務めた時期もあり、生前アルミ生産とは電力を湯水の如く消費するものだと度々聞かされたことが今更のように思い出されてくる。
 今日矢田さんに紹介してもらった‘You Tube’は、的確に問題点を整理し説明した内容で、観ていて得るところが多い有意義なインタビュー映像だった。論より証拠に、アップしてから1ヶ月足らずの間に、すでに15万回超のアクセスがある。

2011年5月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com