昨日オバマ米大統領はパレスチナ和平推進のために、提言というより、和平条件として現在イスラエルが占領している地域を、1967年の第3次中東戦争時の状態に回復させることをイスラエルに求める演説をした。その一方で、イスラエルの存在自体を認めようとしないイスラム組織ハマスにもイスラエルの存在を受け入れるよう求めた。
実は第3次中東戦争勃発に触発され、その半年後に単身戦争の当事国、その他のアラブ動乱の地、そしてアフリカまで行った。その意味では私が今日旅行ジャーナリストを名乗り、4日前にも「武者修行を通して見た世界」のテーマでおしゃべり出来たのも、この戦争のお陰だと言えないこともない。その当時日本ではベトナム戦争の方がよほど注目され、パレスチナ、アラブなどには大して関心が持たれなかった。その点では私自身些か変わり者だったから、40年近くも前にアラブなんぞへは行ったのではないか。
ベトナム戦争と並行して、その頃アラブという地域に少し興味を持ち始めたことは事実である。それはイスラム教という日本人にとって異質な宗教、その当時あまりにも日本人の感覚と常識とはかけ離れた伝統や風習に興味を惹かれたからでもある。でも、普通の感覚なら何もアラブとイスラエルの戦いの場へ直接乗り込むこともなかったのかも知れない。結果的に初めてアラブを訪れたお陰でイスラム教風習のさわりのようなものを知ることになったし、その後イスラエルとパレスチナの対立要因を少しばかりだが理解出来るようになった。そしてこのことがその後今の仕事上?でも大いに役立っていると思う。
ところでオバマ大統領はイスラエルが占領した地域、特にヨルダン川以西をパレスチナ側へ返すことを求めている。そこはすでに広い地域に亘ってユダヤ人入植地として開墾され、周囲には高い壁も作られパレスチナ人が入り込める余地はない。その既得権の如き占領地域をイスラエルがすんなり返還するとはとても思えない。それでいながらアメリカ国内のユダヤ人団体などの反発を恐れることなく、敢えてパレスチナ和平を推進しようとのオバマ大統領の強い決意には敬服をすら覚える。日本の政治家にオバマの真似が出来ないのは、政治家としての志と信念がないということと、火中の栗を拾おうとする気概がないからである。
今日中国の温家宝首相と韓国の李明博大統領が日中韓3国首脳会談出席のため空路仙台へやって来て、東日本大震災の被災者を見舞った。昨秋菅首相と温家宝首相が顔会わせした時には、こじれた尖閣諸島事件直後ということもあり、温首相は菅首相とは顔を会わせようともせず、終始笑顔を見せなかった。大震災が2人のギクシャクした関係に終止符を打ってくれれば良いのだが・・・。