昨日開催され紛糾したペンクラブ総会について、新聞が記事を掲載するかと思いきや、朝日、日経には新ペンクラブ会長に浅田次郎氏が就任したとの小さな記事が載っていただけだった。毎日新聞が先月と今月に入って、国際ペン東京大会の不透明な会計処理について糾弾したため、昨日のもたついた総会について何らかのコメントがあると思い今朝の毎日を買ってみたところ、ここにも新会長人事しか掲載されていなかった。
その会長人事だが、早くから噂は外部に流れていて、それが昨日の総会前の理事会で正式に決定された。しかし、昨日の総会では役員人事については、35名の新理事名簿表が配布された以外まったく話がなかった。従って新旧会長交代発表や浅田次郎・日本ペンクラブ新会長の就任スピーチもなく、それでいて総会後の記者会見で会長交代人事だけは発表している。知らぬは新理事を除く会員だけか。一体全体どうなっちゃってんだろう?
さて、先日来上を下への大騒ぎだった大震災発生翌日に、福島第1原発の海水注水の55分間に亘る中断を巡って国会内外で当事者を呼び、与野党党首による見苦しい鞘当てのような議論の応酬があったが、今日東電が発表したところによると、何と馬鹿げた話だが、主題の注水の中断はなかったという。何? あの鉦や太鼓のカラ騒ぎは何だったのか。刺身のツマにされた斑目春樹・原子力安全委員長は苦笑しながら、中断していないとしたら私は一体何だったんでしょうねと呆れて記者に逆質問する有様である。どうしてこういう想像もしないような馬鹿な事態が起きるのだろうか。情報をきちんと伝えない東電、信憑性のない情報に振り回される政府と原子力安全委員会、原子力安全・保安院の事故対策は、本気で事態を収束させようという気持ちがあるのだろうか。しかし、彼らを信用出来ないとするなら、一体どこの誰を信頼すれば良いのだろうか。
時恰も菅首相はG8に出席のため、フランスのドーヴィユ(Deauville)を訪れている。ホスト国フランスは全エネルギー源の8割を原発に頼っている。菅首相が原発に否定的な発言をしないようフランスは神経を尖らせている。今日もサルコジ大統領が手厚く菅首相をもてなし、会議冒頭に菅首相のスピーチを演出するほどのヨイショぶりである。フランスのみならず、各国のメディアも菅首相の発言と一挙手一投足を注目している。心配なのは今日明らかにされたような情報の隠蔽で、わが国の原発事故処理に対する信頼性が大きく損なわれる恐れがあるということではないだろうか。 パリの西北西約200㎞、英仏海峡に臨むドーヴィユは、名画「男と女」の舞台として知られる、ノルマンジー地方屈指のリゾートである。隣町オンフルール(Honfleur)とセットになったムードのある街で、私自身ツアーを企画し案内した「タウンクラブ」が10年前に訪れた時宿泊した高級ホテル「オテル・ノルマンジー」も、しっとりした街の雰囲気に合った木組みの建物で趣があり極めて印象的だった。あんな洒落た街で、G8の主題が危険な原発事故というのが何とも皮肉である。