1475.2011年5月28日(土) 原発事故に不毛な政治

 フランスのドーヴィユで開催されていたG8も首脳宣言を採択して閉幕した。菅首相にとっては、日本と首相自身の存在感とパワーを示す絶好のチャンスだったが、残念ながら腰折れだった。折角サルコジ仏大統領がエスコートしてくれたことでもあり、これに甘えて全体写真でも最前列に並んで世界中に日本の総理大臣の顔を売れば良いのに、いつも通り「日本の首相」らしく目立たない指定席でもじもじしていた。
 首相は個別の記者会見で、2020年代の早い時期に自然エネルギーについては発電量の20%超を目標とするとの公表と同時に、国内1千万戸の屋根に太陽光パネルの設置を目指すと語った。ところが電力担当の海江田万里・経済産業相がそんな話は聞いていないと憤然とした口調で語っていた。こんな多額の補助金を要するような政策実行について管轄する経済産業相が、情報は報道を通じて知ったという間の抜けた話である。結局閣僚間のコミュニケーション以前に、内閣としてどう機能すべきかという政治の初歩が分っていないようだ。これでは「百年河清を待つ」の心境にならざるを得ない。
 そんな弛緩した政治情勢、そして原発事故の収束という厳しい環境の中で、自民党谷垣総裁と公明党山口代表が、菅内閣不信任案を提出することを鼻息荒く喋り捲っている。つい最近の各社の世論調査でも菅内閣は支持しないが、菅首相の退陣には反対という国民が増えている。国民の方がよほどわが国の深刻な危機状態が分っているのだ。
 国際原子力機関(IAEA)の調査団が、昨日福島第1原発を視察した。地震、津波、原発事故の専門家を含めて、その数は20人だという。それだけIAEAも事態を深刻に受け止めているのだ。来月ウィーンで開かれる閣僚級会議で報告書を公表する。話は逸れるが、この原発で生じている放射能汚染水の浄化処理費用が、たった1ℓに約210円もかかるというから目を回す。これでは後から後から排出されるであろう汚染水にどれだけ費用をかけることになるのだろうか。実際、一旦事故が起きると外部への直接、間接の費用のほかに原発自体に巨額の費用をつぎ込まざるを得ない。これでは、やはり今後のエネルギー政策は、原発から他のエネルギーへの転換を真剣に検討すべきだとの考えが益々強くなる。
 さて、笑っちゃう話だが、NHKの教育テレビの通称を「Eテレ」ということに決めたそうである。よくもこういう下品でくだらない略称を頭の良いNHK幹部がすんなり承認したものである。これまでにも「地上テジタル」を「地デジ」と略称化して呆れていたが、ここでまたもやってくれた。
 かつてJR東日本が都内の電車をすべて「E電」と呼ぼうと決定した。あまりにも軽薄な略称の名づけ方に呆れた石原慎太郎・元運輸大臣が待ったをかけて沙汰止みになったことがある。そのJR東日本の社長を経験した御仁が、今やNHK会長職に就いている。どうでも良い話かも知れないが、幾ら何でもこんな軽い「Eテレ」は止めた方が良いと思う。

2011年5月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com