1483.2011年6月7日(火) ドイツの脱原発に敬意

 日本ペンクラブの反原発セミナーに出席していた昨日、ドイツでは2022年までに国内のすべての原発を閉鎖することを正式に決定した。原発の運転延長を決めたばかりだったにも拘わらず、思い切った脱原発決定の背景には、圧倒的な国民世論があった。
  メルケル首相率いる中道右派のキリスト教民主・社会同盟は元々原発維持を唱えてきた。中道左派の社会民主党主体のシュレーダー前政権が決定した脱原発政策 を昨年秋に変更し、運転延長を決めたばかりである。州議会選挙対策と見られていたこの変更も虚しく、連立与党は選挙で惨敗を喫した。その一方で反原発を掲 げて戦った「緑の党」が大躍進した。そこへ福島の事故で世論が一気に反原発に傾いた。メルケル政権は「緑の党」をこのまま拡大、飛躍させるわけにいかず、 先手を打つ形で当初のスローガンを思い切って変更したのだろう。
  とにかくドイツ人の理念と実行動力には端倪すべからざるものがあるし、その決断にもスピードがある。わが国では メドがついたら辞めるとの言葉を取られた菅首相が、のろのろと辞任の時期を先延ばしにしているとばかりに与野党で喧々諤々の言い争いになり、一応の観測で は今月中か、8月中に辞めてもらうことを前提に手打ちのための駆け引きをやっている。
  そこへ急に「大連立構想」が現実味を帯びてきた。その前提に政策合意、衆議院解散時期、首相辞任時期などを斟酌 して次の総理候補者がまとまらなければ前へ進めない。最大の壁となっているのが、民主党のマニフェストの修正だそうである。次いで解散時期、そのうえで次 期首相に誰がなるかという点だそうで、自民党は谷垣総裁を推し、民主党は衆議院議席数から考えても、首相を自民党からという話はないと駆け引きが始まって いる。相変わらず政局がらみの腹の探りあいで一向に建設的な話し合いにならない。
 こういう状況下で福島第一原発の汚染水が溜った問題について、はっきりした対策も行動をとっていない。どうして、こんな大事なことがいつも後手後手となってしまうのか。政治家も原子力科学者も今もってすべて他人事の感覚で利己的に動いているからだ。
  ところで昨日ペンクラブ・大原雄理事と話していて、先日のペン総会の紛糾について話が及んだ。厳しい質問をした須藤甚一郎さんと小中陽太郎さんの間に座り ながら質問は控えていたが、理事席に着席されていた大原さんから、「近藤さんは『言い訳を言うな!』と野次を飛ばしていましたね」と完全にお見通しされて しまっていた。ちょっといらいらしてつい大声で某理事の発言を野次ったことは事実であるが、そこまで証拠を掴まれていたとは知らず迂闊だった。これからは よくよく尻尾を捕まれないように、また下品な野次はセルフ・コントロールしないといかん。

2011年6月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com