今日の朝日夕刊第一面に、日本がアメリカに押しまくられたトピックスが二つも掲載されている。
ひとつは東電福島第一原発で非常用発電機を地下に設置する米国式設計を採用したことにより、結果的に今回の事故の被害が大きくなったことが分ったというお粗末ぶりである。1号機はGE社 製でアメリカの企業が全面的に工事を仕切った。なぜ臨海の福島原発の非常用発電機を地下に設置する必要があったのか。われわれ原子力村の外に住む人間だっ て首を傾げたくなる。そもそもアメリカと日本では気象条件や立地が、まったく違うではないか。そんな基本的なことが斟酌されなかった。アメリカでは竜巻や ハリケーンに備えて発電機を地下に置くという。福島ではそのアメリカ方式を踏襲して、地下に置かれた発電機が流入してきた津波を被ってしまった。発電機は 水につかり全電源を失った。これにより1号機が冷却機能を失ったことは度々メディアでも報道されている。何と軽率で、思慮のないことか。
記事によれば、福島原発の後設の2号機以下は東芝、日立の日本製であるが、これもほぼ1号機を踏襲したそうである。実際福島原発1~6号機の非常用発電機13台の内、主要10台が地下に設置された。通産省の元幹部の言うことがふざけている。「米側の仕様書通りに作らないと安全を保証しないと言われ、言われるままに作った」だと。まるで怯えた小学生の言うことと変わらないではないか。その挙句に結果は少しも安全と言えるようなものではなかった。
これでは日本の原発ではないのではないか。政治家、役人、東電幹部らこれら非常用発電機の導入、設置に関与し、杜撰な設計に関わった人物の名前を公表して、厳しい罰を科すべきではないか。知ったかぶりをして陰でアクドイことをやっている奴が、相変わらず後を絶たない。
流石に評論家の内橋克人氏も呆れてこう言っている。「戦後日本の技術開発は、他国に学んで自主開発を目指すケースと、他国におんぶに抱っこで技術を導入す るパターンがあった。福島原発は後者の典型で自然条件の違いを考えずに米国の設計を丸呑みした。日本の技術の宿命的な落とし穴」。これにはまったくがっか りさせられる。
もうひとつのトピックは、日本が負担する沖縄の駐留米海兵隊のグアム移転費814億円の内758億円が使われずに塩漬けになったままだったということである。アメリカにもそれなりの理由があったとは思うが、これだっていかにも杜撰ではないか。グアム移転費は沖縄の過重な基地負担を日本も分かち合うための費用として、日本もやっと2009年から日本側が全経費の約6割を負担支出していたものである。こんな日米間の重要問題を放ったらかしにしてしながら政争に明け暮れていて、一体全体国会議員は、何の呵責も感じないのか。
アメリカも酷いが、アメリカの言いなりになっている日本は、これで本当にアメリカの手から離れ独立したと言えるのか。