1490.2011年6月14日(火) イタリアが原発にアリベデルチ

 注目されていたイタリアの原発再開の是非を問う国民投票の結果が判明した。イタリア国民のほとんどが「脱原発」を選択した。この国民投票制度は分かりにくいが、全投票数が有権者の50%を超えたことがはっきりした時点で、中身を判定する。今回は暫定投票率が約57%に達した時点で開票し、約3割を開票した結果94.5%が原発凍結賛成票だった。現在停止中の原発を再開することを目指していたベルルスコーニ首相も「イタリアは原発にさよならを言わなければならない」と白旗を掲げざるを得なくなった。
 これでスイス、ドイツに次いでEU域内でイタリアも原発停止国となった。これにより現在も消費電力の15%を輸入に頼っているイタリアは、引き続き自国内で生産出来ない電力を輸入する方法を選択するしかない。
 日本はどうかとなると、浜岡原発は停止と決まった。出来るだけ自然エネルギーに代替していく方針は打ち出したが、原発を廃止とは言い切っていない。一度吸った麻薬の味はそう簡単には忘れられないということなのだろう。
  しかし、トータルで考えると原発は絶対廃止しなければいけない。経済が停滞しようが、不便を我慢しコストがかかろうとも、原子力制御に人間の全知全能を傾 注しても時間とコストがかかり、解決の手段が容易に見つからないとするなら、原発は断じて廃止すべきである。原子力ほど不安な近代科学はない。福島原発の 事故まではコスト的に原発有利と考えられていたが、たった一回の事故でどれだけ費用がかかり、不経済で危険であるかということを思い知らされた。今や「絶 対無事故」、「絶対安全」というまやかしに騙されてはならない。原発を停止したら、他に代替エネルギーがないとの声も聞くが、専門家の飯田哲也氏が原発に よる供給は半分を自然エネルギーで、半分を節電でと提言している。
 それよりもっと貴重な資料が明らかになった。先日の日本ペンクラブ環境委員会研究会で西尾漠氏が「原発の現実」と題して語られた時、委員長の中村敦夫氏が配布したグラフ「発電施設の設備容量と最大電力の推移」である。
 藤田祐幸氏が1965年度から2007年 度までの発電量と消費量を「エネルギー・経済統計要覧」から毎年数値を拾い上げ、個人的に作成したグラフである。それによれば毎年発電能力は消費量を上 回っていることを示している。しかも、原子力発電量を必要とするまでもなく、取りあえず電力消費量を水力と火力発電で賄っている。もちろんこれだって精査 する必要があろうが、それにしてもどうしてこういう原発反対派にとって有利で重要な資料が表に出てこないのか。
  今月から始まった駒沢大学マスコミ研究所の公開講座に今年初めて出席した。3年前に受講した菱山郁朗講師の「現代メディアと報道論」と片山正彦講師の「報 道メディア論」を改めて受講することにした。明日も清田義昭講師「映像を通して現代を考える」を受講する。各講師は今もメディアの前線で取材に当たり、新 鮮な情報を話してもらえるので、それを肉としたい。

2011年6月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com